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  1. 東京都議会 1998-04-08
    1998-04-08 平成8年度_各会計決算特別委員会(第14号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時三分開議 ◯高野委員長 ただいまから平成八年度各会計決算特別委員会を開会いたします。  初めに、当委員会の担当書記に交代がありましたので、ご紹介をいたします。  議事課の山田美由紀さんです。議案課の齊名正信君です。調査部の田口真純君です。  よろしくお願いいたします。    〔書記あいさつ〕      ━━━━━━━━━━ ◯高野委員長 本日は、局別審査のうち、選挙管理委員会事務局都市計画局及び財務局の順で質疑を行います。  なお、本日は質疑終了まで行い、意見開陳等は後日行います。ご了承願います。  これより決算の審査を行います。  平成八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。  これより局別審査を行います。  選挙管理委員会事務局関係に入ります。  選挙管理委員会事務局関係の決算については、既に説明を聴取しております。  資料の要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。  発言を願います。 ◯比留間委員 私は、選挙の際の投票所と不在者投票の問題についてお伺いをいたします。  つい先日も、大田区で衆議院の補欠選挙がありましたが、最近の選挙における投票率の低下傾向は目を覆うばかりの状態でありまして、民主主義の危機ともいえるものではないかなと思います。これについてはさまざまな原因が指摘されているところでありますが、私は、有権者が投票しやすい環境をつくっていくことが一番重要な課題だというふうに思いますので、そういう観点から何点かお伺いをいたします。  まず、現在、投票所はどういった基準で設置をされているのか。余り遠くて、有権者の方々が投票所に行くのに大変不便であったり、また、余り混雑するようでもまずいと思いますので、その辺の基準について、まずお伺いをしたいと思います。 ◯木村次長 投票所の設置基準についてでございますが、都の場合、有権者六千人以内、距離はおおむね二キロ以内で設置しているところでございます。
    ◯比留間委員 基準は六千人で二キロ。基準はそうであっても、実際にはマンモス投票所とか、かなり遠くて不便な投票所があるというふうに聞いているんですけれども、選挙管理委員会は、投票所をもっと身近な場所に設置をしていく努力をした方がいいのではないかと思うんですけれども、その辺についてお伺いをいたします。 ◯木村次長 ご指摘のように、平成九年九月二日現在でございますけれども、投票所は都内に約千八百カ所ございますが、このうち三十八カ所が一万人を超える投票所ということでございます。その理由といたしましては、投票所として適当な施設がないためとか、また、幹線道路や河川などによりまして、いわゆる地形上、投票所までの距離が遠くなる事例もございます。  都はこれまで、一万人を超える投票所につきましては、できるだけ分割や再調整を行い、投票所をふやす方向で指導してきたところでございます。今後も、有権者が投票しやすい環境づくりを積極的に進めるため、区市町村選管に対しまして、身近な場所で適正規模の投票所の設置をするよう指導してまいりたいと思います。 ◯比留間委員 いろいろ努力をされて、なるべく投票しやすいように努力をされているのはわかるんですけれども、それにしても、まだまだ、少し遠過ぎるとか、いろいろご意見がありますので、費用もかかって大変かと思うんですけれども、適切なご指導をお願いしたいと思います。  次に、不在者投票についてお伺いをいたします。  不在者投票に行きますと、いろいろ理由を細かく聞かれて、不在者投票に二度と行きたくないというような苦情を結構耳にいたします。今回、公職選挙法が改正され、不在者投票もかなり緩和されたというふうに聞いているんですけれども、これからは、こういう問題が出てこないまで緩和をされたのかどうか、その辺についてお願いいたします。 ◯木村次長 不在者投票といいますのは、投票日当日、投票所に行けない選挙人に対しまして、その事由を公職選挙法第四十九条で規定して、この事由に該当した場合に限り投票ができることになっているわけでございます。いわば例外投票ということで、その手続等が細かく規定されているわけでございます。  今、先生がおっしゃいましたように、職業でございますとか行き先でございますとか、細かく聞くというようなことで、都選管ももとよりでございますが、区選管にも、窓口で非常に苦情が多かったことでございました。  今回の改正では、有権者の利便を考慮いたしまして、不在者投票の事由について大幅な緩和が図られたわけでございます。その主な改正点は三点ございますので、以下、ご説明をさせていただきたいと思います。  まず、選挙の当日、選挙人が自己の投票区の区域を問わず、職務もしくは業務に従事すること。つまり、今までは、自己の投票区内に勤務先と住まいが同じであった場合、自営業の方でございますとか看護婦さんなどでございますが、その理由に該当せず、投票できなかったわけでございます。それが一点目でございます。  さらに二点目でございますが、今、一番でご説明した以外の用務または事故のために、投票区の区域外に旅行または滞在すること。つまり、今までは、その用務がやむを得ないものに限定されておりました。行き先不明の旅行といったものや、用事があっても、半日で済んでしまうような結婚式の出席等は認められていなかったわけでございます。  それから三点目でございますが、疾病、負傷、妊娠等のために歩行が困難であるなどの理由があればよいということになりました。  今回の不在者投票制度は、これまでと違いまして、投票日当日、選挙人が何らかの事由によりまして、投票所に行けない理由があれば、不在者投票ができるよう大幅に改正されまして、こうしたことから、今後は、窓口での苦情はほとんどなくなるものと考えているわけでございます。 ◯比留間委員 今までよりはかなり緩和をされるというようなお話ですけれども、でも、まだ、宣誓書というんですか、それに記入をしなさいとか、いろいろあるわけですよ。住所ですとか氏名ですとか、行き先はどこですかとか。結局、普通の選挙は、当日行けば、投票券だけでいいわけでしょう。行く人は、そういうふうに思って行くわけですね。ところが、向こうへ行くと、今まではいろいろ質問されたり、そういうのをやっていたんですけれども、今度は書くようになったみたいです。それにしても、お年寄りの方なんかは、書くこと自体が苦痛だというんだね。緩和されたといっても、いろいろまだ苦情はあるというふうに思うんですね。  ですから、選挙法上、いろいろ難しいかなと思うんですけれども、もう少し簡単に──要は、本人であれば、その辺が間違いなければいいのでしょうから、その辺、もう少し緩和できるように、なお一層努力をお願いしたいと思います。  最後に、不在者投票の場所なんですけれども、市だとか区によっていろいろ違うと思うんですけれども、大体、庁舎の一番奥ですとか、階が一番上の一番奥ですとか、利用するには一番便の悪いところへ置いてあるところが多いんですね。結局、選挙管理委員会の皆さんの目が届くような場所というふうに設置をしたんでしょうけれども、投票に行ってもなかなかわからなくて、エレベーターに乗って、途中で聞いたり、その辺、もう少し簡単に投票ができるような場所に設置をしていただくようにできないものかと思っているんです。いろいろやってもらっているところもあると思うんですけれども、平均見ますと、かなり不便な場所というか、端の方に追いやられてしまうような場所が多いように思うんです。その辺のご指導もお願いをしたいと思うんですけれども、ご答弁をいただいて、終わります。 ◯木村次長 今、比留間先生のお話にもございましたけれども、特別区、市町村の不在者投票の場所でございますけれども、平成十年三月までで調査いたしますと、六十三団体の中で百九十一カ所ございます。このうち、今、先生がおっしゃったように、庁舎の一階部分というようなのが百カ所でございます。残りの九十一カ所がそれ以外の階でございまして、エレベーターを利用するというような状況にございます。  一階部分に設置できない理由としましては、今、先生のお話にもございましたけれども、庁舎自体が狭くて、適当な場所がなかなか確保できないという場合ですとか、あるいは事務の性質上、選挙管理委員会の事務室に近い場所を確保する、そういうようなことが主なものでございます。  都としましても、有権者の利便性や投票率の向上のためにも、不在者投票場所の拡大を指導してきているところでございますが、今後、場所につきましても、有権者が利用しやすい場所を確保するよう、改めて区市町村選管を指導してまいりたいと存じます。 ◯山本(信)委員 それでは、何点か質問をします。  最初に、最高裁判所裁判官国民審査の問題なんですけれども、これは総選挙と同時に毎回行われているわけですけれども、この制度そのものがよく理解をされていないということが問題ではないかと、弁護士の団体などからも、かなりいろいろな形で指摘をされています。  その中で特に重大だというふうにいわれておりますのは、投票用紙をもらって、その投票用紙に不信任のバツ印をしない場合には、すべて信任とみなされるという制度なんですけれども、世の中に、そういうバツをつける投票というのが少ないために、よくわからないと。結果的には、判断がつかないからということで、バツはしないと。で、投票されると、それが全部信任にカウントされるというふうになっています。こういう制度で、本当に国民による審査ということが十分に機能しているのかどうかということが、重大な問題ではないかというふうに思うんですね。  そこでお伺いをしたいんですけれども、この国民審査の制度について、もっと啓発をしていく必要があると思うんですが、その取り組みについて見解を伺いたいと思います。 ◯木村次長 いわゆる最高裁判所裁判官国民審査といいますのは、リコールの一種としての性格を持つものでございまして、審査の具体的な手続は、最高裁判所裁判官国民審査法に基づいて行われるわけでございます。都道府県の選挙管理委員会といいますのは、地方自治法の定めによりまして、いわゆる機関委任事務でございますが、中央選挙管理会指揮監督を受けまして、審査公報を発行することや審査に関する事務、いわゆる投票でございますが、投票管理をすることが規定されているわけでございます。  したがいまして、東京都の選挙管理委員会は、中央選挙管理会指揮監督のもとで、投票日の周知を図るとともに、投開票事務に万全を期しているところでございまして、今、制度の仕組みというようなことについてのPRにつきましては、大変恐縮でございますけれども、機関委任事務の範疇には入っておらないというのが実態でございます。 ◯山本(信)委員 本来、一つの投票が行われるということになれば、その制度をきちんと徹底するというのは、責任のある仕事だというふうに思うんですけれども、今、ご答弁をいただいたところでは、機関委任事務の中に入っていないということで、東京都としては何ともならないということのようなんですけれども、この制度の問題について、都としてきちんと啓発活動ができるように、国に対して強く要望をしていただきたいということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  次に、知的障害を持った方の投票の保障の問題なんですけれども、平成八年に行われた総選挙で、知的障害を持った方の投票というのはどういうふうに行われたのか、そのことをまず教えてください。 ◯木村次長 平成八年の十月二十日執行の衆議院議員の選挙によりますと、いわゆる知的障害者とは必ずしも一致しないんですけれども、いわゆる代理投票をされた方が九千九百九十人ございます。そのうち、直接、投票所で代理投票をされた方は約五千人でございます。そのほかに、事前に不在者投票によって代理投票された方が千百人ぐらい、それから、指定病院等不在者投票によって代理投票された方が約三千八百人、以上のようなことでございます。 ◯山本(信)委員 今、一昨年の総選挙における代理投票の数の報告をいただいたんですけれども、知的障害を持った方の投票の問題というのは、非常に重大な問題だと思うんですね。これは、一九九三年四月号の「リハビリテーション」という雑誌の中に、東京都精神薄弱者育成会の緒方会長が寄せられた文章なんですけれども、九二年に行われた参議院選挙のときに、知的障害を持った方がどの程度投票をしたのかということを、各生活寮ですとか作業所などに問い合わせをして集計をした数字が出ているんです。  これで見ますと、例えば生活寮の場合ですけれども、四十の寮で、選挙権がある寮生の数が百七十九名、そのうち投票された方が百二名。ここの寮というのは、愛の手帳でいくと、大体四度、三度という方が多い寮です。それから通勤寮でありますけれども、これは三寮あって、このうち五十三名が選挙権を持っていて、投票された方が十六名、投票率は三〇%なんですね。通所訓練施設、特に障害の重い方の施設の場合ですと、五カ所で選挙権がある方が六十七名いらっしゃる。ところが、投票された方というのは三名、投票率にして四・四七%という数字が出ているというんですね。  それで、実際に知的障害を持った方が投票に行かれるという場合、実際、投票所に行って、代理投票などの形でいろいろな支援をしていただいたりということになると思うんです。これは、私、ある知的障害を持っているお子さんお父さんから伺ったんですけれども、本人と一緒に選挙に行く、ところが、毎回、投票所でトラブルが起きると。それは、要するにそのお子さんの場合には、非常に障害が重いというのもあるわけですけれども、お父さん、お母さんから離れて、一人で記載台、立会人のところへ行く、それだけで相当のプレッシャーとストレスの中で、本人は行くわけですね。そこで、意思確認ということで、どの人に投票したいのかと。大きい声で名前をいうときもあるし、自分で書けるときには、一生懸命練習していったので、書くということになるのですが、そこの中でいろいろとトラブルがあって、もう二度と嫌だというようなことが起きる。選挙が近くなると不安で不安でしようがないんだけれども、それを、とにかく大事なことなのだからといって、説得をして連れていくといいます。  そこで、そのお父さんが一番おっしゃったのは、その投票所に行くと、みんなからじろじろじろじろ見られて、本当に嫌な思いをするんだと。確かにほかの人にとっては、何でこの子が来るんだというふうに思われるかもしれないけれども、その子の暮らしにもかかわって大事な選挙だから、大事なことだから、おまえが唯一、政治だとかそういういろいろなことにかかわれる場所、ほかのことでほとんどかかわれないけれども、唯一、意思を示せる場所なのだからということで、私たちは選挙に連れていくというふうにいわれるんですね。  ですから、こうした知的障害を持った方に対して、都が、どういうふうに選挙管理委員会としてサポートをしていくのかということは、非常に重要な課題ではないかというふうに思うんです。  そこで局長に伺いたいのですが、知的障害を持った方の投票権行使について、どのように認識していらっしゃいますか。 ◯荻野選挙管理委員会事務局長 知的障害者の方の選挙権の行使について、どのように認識しているかというご質問でございますけれども、選挙権は、憲法上、国民の権利として保障されているものであり、知的障害者の方にも、その権利の行使は保障されるものと認識してございます。そのため、公職選挙法では、投票の秘密主義の原則から、有権者がみずから投票所に出向き投票用紙に記載することになっているところを、身体の故障、または文字を書くことができない方につきましては、先ほど話が出ておりますように、代理投票制度を設けているところでございます。  しかし、知的障害者の方につきましては、障害の程度、態様、場合によっては生活環境等によって、現行制度では十分対応し切れていない部分もあるのではないだろうかというふうに認識してございます。  したがいまして、知的障害者の方々も選挙権の行使が円滑にできるようにすることは重要なことであり、非常にいろいろ難しい問題もございますけれども、これから取り組んでいかなければならない課題だというふうに認識してございます。 ◯山本(信)委員 重要な課題だというふうに認識を伺ったのですけれども、本当にこの問題は大事なことだというふうに思います。先ほどちょっと引用させていただいた緒方さんの文章の中では、こういうふうに述べられているんですね。私は、この人たち、知的障害を持っている方の成人式のお祝いの言葉として、きょうから皆さんたちは、ここに出席されている市長さんや議員さんたちを選ぶ権利ができたんですよと、こういうことを強調していますと。いつも述べられるんだそうです。本当にこうした知的障害を持っている皆さんの選挙権の行使のために、もっといろいろな努力──確かに都の選挙管理委員会だけではできない問題が多いと思いますけれども、ぜひ研究をしていただきたいというふうに思います。  例えば、識字率が非常に低いインドでありますとか、そうした国の場合、候補者や、または政党のマークとか、そこの政党が示した絵であるとか、そういうものの下に丸印やバツ印を書くことによって意思を表示するという方法が実際に行われているところがかなりあるようです。そういう意味でいうと、日本の場合には、識字率がもうほとんどという状態にありますから、逆に、字が書けない人はなかなか投票に参加はできないという仕組みだと思うんですね。それで、実際に漢字で名前が書いてある、字が書いてあって、その中から候補者を選びなさいというふうになっていますけれども、何とか知的障害の人だけは、例えば写真か何かを示して、この人というふうにすることができないのかとか、もっといろいろな研究をしていただきたいというふうに思います。  また、実際に実態を調査するということと同時に、例えば知的障害を持っている皆さんの団体、育成会の中にも本人部会というものができまして、主に軽度、中度の方が多いというふうに聞いていますけれども、そうしたところへもぜひ選挙管理委員会として出ていかれて、皆さんが選挙に行って困ったことはどういうことがありますかとか、そういう声を直接聞いていただいて、さらに知的障害を持っている皆さんの選挙権保障に向けて努力を重ねていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。 ◯土持委員 先ほど、比留間委員から、不在者投票の場所についての質疑がありましたけれども、若干、確認を含めて質問させていただきます。  不在者投票設置場所についての基準というか、どういう形でこの百九十一カ所が決められてきたか、ご説明をいただきたいと思います。 ◯木村次長 不在者投票施設設置場所というのは、従来は、区役所でございますとか、市町村の役場の本庁舎内が主でございました。近年、やはり有権者が利用しやすいようにというようなことで、特別出張所でございますとか、そういった支所関係、そういうことから、大体一市町村当たり三カ所くらい設置されているというのが実態でございます。  さらに、今後、これだけ投票率が低いというようなことで、できるだけ利便性を高めるということから、区や、それから市の一部でございますが、不在者投票施設をふやしていこうと、こういうような考えでいるのが実態でございます。 ◯土持委員 これは、区市町村が要望して、それで検討されるという形をとられるのですか。 ◯木村次長 おっしゃるとおり、区市町村みずからの発意で決定できるという要素でございます。 ◯土持委員 十二月に公選法の一部が変わったわけですけれども、投票時間が長くなったということで、利便性は確かによくなったというふうに思われますが、身体のぐあいが悪い方とか、介護をしている方たちが非常に時間がとりにくいという声を聞くのですけれども、歩行が困難である方たちのためにはどのような形がとれるか、また、介護に当たっている方たちに対する対応はどのような形でされているのか、ご説明をいただきたいと思います。 ◯木村次長 二つございましたので、一点目でございますが、いわゆる身体のぐあいの悪い方が投票所に行く場合でございますが、今までですと、介護が必要で付添人が同行できる場合には、投票所に付き添っていって、その投票当日に投票ができるということは可能でございます。また、介護者が投票日に都合が悪い場合には、介護者が付き添い可能な日に、事前に、不在者投票の方法で投票を行うような、二通りの方法がございます。 ◯土持委員 不在者投票の時間の延長もされたわけですけれども、区市町村の選管の方たちのお話ですと、その時間が長くなった分だけ区市町村の負担になるのじゃないかということがいわれているわけですが、大体どの程度の影響額が出るか、示していただきたいと思います。 ◯木村次長 今、土持先生がお話しのように、不在者投票をする時間も、これまでですと八時三十分から午後五時まででございましたが、今回の改正によりまして、午後八時までの三時間が延長されることになったわけでございます。改正前の不在者投票というのは、勤務時間内でございましたが、それが今度、改正後になりますと、不在者投票事務従事者へは超過勤務手当が必要になってまいります。その増加額を試算してみますと、都内の不在者投票所の数は、先ほど比留間先生にお話ししましたように、百九十一カ所ございます。今回の参議院は十七日間でございますので、一カ所当たり三人が十七日間従事すると、一カ所当たりにしますと約三十万円の経費がかかることになります。したがいまして、総額として、約五千七百万円の支出増と相なるわけでございます。 ◯土持委員 区市町村への超過負担、今、金額を伺いましたけれども、これは国がなさるわけですから、都として国の方へ、超過負担については何とかしていただきたいということをぜひ要望してもらいたいと思うんです。  今回の不在者投票の時間の延長によって、今まで一度行われた選挙で、不在者投票にどの程度の影響、変化があったか。幾つも選挙はなかったわけですけれども、例えばこの間の衆議院四区の場合をとって、不在者投票についてどのぐらいの変化があったか。 ◯木村次長 今、私の説明が不十分だったかもしれませんけれども、今回の不在者投票適用施行月日は、六月一日以降の選挙からということになります。私の説明が不足しておりましたので、土持先生が誤解をされて大変申しわけございませんが、不在者投票そのもの、丸印とかそういうことを含めまして、六月一日からということでございます。  今まで、不在者投票というのが、投票率に換算しますと、大体三ないし五%ぐらいの有権者に影響があったわけでございますが、今回の三時間延長によりまして、どれくらい投票率が高まるかということは、私どもの方としても淡い期待は──三時間ふえたわけですから、学生さんや勤め帰りの方もたくさん投票していただけるものと大いに期待をしているわけでございますが、自信を持って、これからどれぐらい高まるかということは、この席ではなかなか申し上げられませんので、もうちょっと時間をおかしいただきたいと思います。 ◯土持委員 ご親切な答弁、ありがとうございます。  投票率が上がることを期待するわけですけれども、適切なPRというか、都民の皆さんに、こういうふうに変わるのだということをできるだけ徹底をされるように、要望しておきたいと思います。よろしくお願いします。 ◯高野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  選挙管理委員会事務局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯高野委員長 異議なしと認め、選挙管理委員会事務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。  以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。      ━━━━━━━━━━ ◯高野委員長 これより都市計画局関係に入ります。  初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員の交代がありましたので、都市計画局長より紹介があります。 ◯名倉都市計画局長 去る四月一日付の人事異動に伴います当局の幹部職員をご紹介させていただきます。  参事で特命担当の木庭啓紀君でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。    〔理事者あいさつ〕 ◯高野委員長 紹介は終わりました。      ───────────── ◯高野委員長 都市計画局関係の決算については、既に説明を聴取しております。  その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  資料について理事者の説明を求めます。 ◯土肥総務部長 資料につきましてご説明申し上げます。  お手元の、平成八年度各会計決算特別委員会要求資料の一ページをお開き願います。都市計画決定後二十年以上を経て事業化されていない主な都市計画でございます。  都市計画道路、都市計画公園緑地、市街地再開発事業、都市計画自動車駐車場について、その件数及び事例を記載しております。  次に、二ページをごらん願います。生産緑地地区面積の推移でございます。  各区市ごとに、生産緑地地区の地区数及び面積を記載してございます。  次に、三ページをお開き願います。東京外郭環状道路計画についてでございます。  生活都市東京構想、第四次全国総合開発計画における、業務核都市にかかわる東京外郭環状道路の位置づけについて記載してございます。  最後に、六ページをお開き願います。立川基地跡地関連地区再開発事業ファーレ立川入居状況でございます。  街区ごとの主要用途、入居率などを記載してございます。  大変雑駁ではございますが、以上で、要求のございました資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。 ◯高野委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。  発言を願います。 ◯河合委員 都市計画決定後二十年以上を経て事業化されていない都市計画の件数及び主な事例につきまして資料をちょうだいしまして、ありがとうございます。これに基づきまして、数点にわたって質問をいたします。  いただいた資料を見ますと、二十年以上たっても事業化されていないものにつきましては、総件数百七十三件に及んでおります。二十年以上三十年未満、これはまだしも、三十年以上四十年未満、これにつきましては、サッカーでいえばイエローカード、四十年以上に至っては、もはやレッドカード状態ではないかと思います。  殊に都市計画道路につきましては、路線の全線について事業化されていない路線数が、この百七十三件のうちの大多数といっていい、実に百六十件に及んでいるわけでございます。このほか、一部事業化されながらも完成の見込みのないものを合わせますと、実態としては、さらに相当な数に上るのではないかと思います。きょうは、そういったすべてについて伺う時間もないと思いますので、ここでは、都市計画決定後四十年以上たっても事業化されていない十二件、資料では十二件出ておりますので、この件について伺いたいと思います。  まず、この十二件にはどのようなものがあるのか、説明を願います。 ◯山下施設計画部長 要求資料にお示しいたしました、四十年以上事業化されていない十二件の路線でございますが、これは、補助第九、一〇、三四、三九、四二、四三、四八、六三、一二六、一二七、一二九号線と十条駅付近街路の合計十二路線でございます。 ◯河合委員 数字をいわれただけじゃなかなかわかりにくいと思うんですが、私も、資料をいただきまして地図で拾ってみましたら、大体、放射あるいは環状街路の補助的な役割を担う道路、あるいは近隣生活圏形成のものとして計画されているもの、こんなふうにいっていいかと思います。  さて、そこで、四十年以上ということだから、暦の上では一九五七年以前、昭和三十二年以前に決定をされたものだと思いますが、それぞれの都市計画決定はいつごろですか。 ◯山下施設計画部長 三度に分けて決定いたしておりますが、まず最初は昭和二十一年の四月二十五日でございまして、この際は、補助第九号線、一〇、三四、三九、四二、四三、四八、六三号線でございました。  それから、昭和二十二年の十一月二十六日に決定いたしました路線といたしましては、補助第一二六、一二七、一二九号線がございます。  さらに、昭和三十二年の四月十八日でございますけれども、十条駅付近街路を決定いたしております。 ◯河合委員 十条駅付近街路、これが昭和三十二年、そのほかの十一件につきましては昭和二十一年または昭和二十二年、こういうことでございますから、まさに戦後の混乱期でございまして、日本経済が高度成長に至る以前の都市計画決定ではないかと思います。  いずれにしましても、その後、こういった計画の見直し作業が行われたと思いますが、それについて説明を願います。 ◯山下施設計画部長 都市計画道路の見直しでございますけれども、これまで、その時々の社会経済情勢に応じて行っておりますが、この案件につきましては、昭和三十九年、環状六号線の内側部分につきまして見直し、また、昭和四十一年には、環状六号線の外側部分を見直してございます。また、さらに昭和五十六年でございますが、区部全域におきまして再検討を実施いたしまして、一部の都市計画道路の廃止、さらには追加、これらを含めまして見直しを行って、現在の道路計画に至っております。  なお、昭和五十六年に見直した際には、事業化計画をも同時に定めまして、事業の促進に努めてまいっているところでございます。 ◯河合委員 今の説明によりますと、適時見直しを行っているということでございますが、しかし結果的には、私からも申し上げております十二の路線についてはいまだ事業化されていない、こういうことでございます。東京都は現在、平成三年度から十二年度までの第二次事業化計画に基づいて道路づくりを進めているわけですが、まず、この計画の進捗状況について、どうなっていますか。
    ◯山下施設計画部長 区部におきます都市計画道路の第二次事業化計画におきましては、平成十二年度を目途に着手または完成すべき路線、これを選定いたしておるわけでございますが、その路線といたしまして、二百十九カ所、約百七十九キロメートルを選定してございます。  この第二次事業化計画の進捗状況でございますけれども、平成九年三月末現在で九十カ所、約五十キロメートルに着手しているところでございまして、着手率は、延長で申しまして約二八%となっております。 ◯河合委員 今、説明のありました第二次事業化計画の中に、先ほど来申し上げております十二路線のうちどの路線が組み込まれているか、この点について説明願います。 ◯山下施設計画部長 ご指摘の路線は、補助第九号、四三号、一二七号線と十条駅付近街路でございます。 ◯河合委員 今、答弁のありましたものは、第二次事業化計画の総区間、二百十九区間、約百七十九キロメートルのうちの何区間、何キロメートルを占めているか。 ◯山下施設計画部長 五カ所、延長では約二・二キロメートルでございまして、率で申しますと一・二%程度でございます。 ◯河合委員 いろいろなご苦労の中で第二次事業化計画を策定し、その中に、今、話のありましたものを組み入れているということでございますが、結果としては、今も答弁がございましたように、わずか一・二%ということですね。しかし、それでも事業化計画にのっただけいいのではないか、のるほどだから、やはり重要な道路であるのではないか、こういう判断もできますので、この問題については、これ以上踏み込みません。  問題は、残る八路線。これは事業化計画にすらのっていないわけですね。私が資料要求をいたしたのは、区分としまして、事業化計画をされても、決定があっても事業化されていないもの、二十年から三十年、三十年から四十年、そして四十年以上と、こういう区分で要求をしましたが、この残る八路線は、先ほどの説明にもございましたように、昭和二十一年ないし昭和二十二年に決定をされたものでございまして、五十年たっているんですね。五十年。五十年たっても、まだ事業化のめどが立たない。これはもう、計画を見直しをして、一部廃止をする、こういったことも含めての抜本的な見直しが必要かと思うんです。  先ほどの説明ですと、昭和五十六年のときには区部全域について再検討を実施し、一部は廃止を含めた見直しをしたということでございましたが、もうそれから二十年近くになるわけでございますから、もう一度見直しが必要ではないかと思いますが、いかがですか。 ◯山下施設計画部長 都市計画道路は、その整備によりまして、都市防災の強化、都市機能の確保、地域環境の保全、さらには都市空間の確保といった四つの目的を達成するものでございまして、都市計画道路というのは、一体として秩序ある道路網を形成しているというふうに考えております。  東京の都市づくりを進める上で、都市計画道路の整備は大変重要というふうに考えておりまして、都市計画道路の一部を廃止することは、道路網全体の機能に重大な支障を及ぼす、非常に困難というふうに考えているところでございます。都市計画道路につきましては、重点的、効率的な整備を進めるとともに、国庫補助金を初め財源の確保に努めまして、長期間未着手の路線につきましても、できる限り早期に整備できるよう努力していきたいと考えているところでございます。 ◯河合委員 今の部長さんの答弁は、おっしゃっていることはそれなりにもっともでございまして、優等生の答弁だと思うんですが、しかし、それにしても五十年たっているんですよ。五十年。五十年たって、たとえ一割でも二割でも手がつけられているというならともかく、五十年たっても何ら手がついてない。これはもはや計画ではないと思うんですよね。完全に死に体になっている。  しかも、再三申し上げていますように、これらの計画は、戦後の混乱期の昭和二十一年ないし二十二年、そういった時期でございまして、現在のように住民参加など全く考えられない、そんなこと、計画を決定するに当たって眼中にすらない、ただただ復興のためにトップダウンで計画をされてきた、こういった時期のものでございますので、私は、ここでもう一度白紙にして、どうしても必要ならば、その必要性を都民の前に、とりわけ関係住民の皆さん方の前に明らかにして、ご理解をいただく。また、そのためにも、抜本的に見直しをするということが必要だと思うんです。  欧米諸国では、例えばアメリカなりフランスなどは、トンネルとか橋梁、道路、こういったもので、長期間にわたる計画で、なお事業が進まないものにつきましては、費用対効果分析という立場から見直しをするということが法律で義務づけられておりますね。皆さん方ご案内のとおりです。  日本でも、ようやく昨年の夏、たしか七月だと思っておりますが、北海道の堀知事が、時のアセスを導入すべきではないか、こういったことを発言いたしました。具体的には、自然保護団体などの反対から長期間停滞したままの公共事業を、時代の変化を踏まえて見直しをし、事業の中止や継続を判断する、時のアセスメントを導入したい、こういうことが表明をされまして、その後ずっと、北海道を中心に全国的にこの論議が積み重ねられてまいりまして、昨年の十二月初め、詳しくいえば五日ですが、橋本総理大臣が、建設、農林水産、運輸省の各公共事業担当閣僚に対して、長期間にわたり効果を上げていない公共事業の見直しを行う再評価システムの導入を指示した。事業採択後、原則として五年ですよ。五年以上たっても未着工のケースを中止するなどの内容を持っているもので、間もなく編成作業が本格化する一九九八年度予算案から導入する、こういうことを表明しました。  くどいようですが、ここでいわれているのは五年ですよ。五十年じゃない、五年。これを受けて、まだ、きょうからわずか十日ほど前にしかなりませんが、ことしの三月二十七日、閣僚懇談会が開かれました。その席で建設大臣から、いわゆる公共事業のあり方を見直しをするといった立場から、予算化されているにもかかわらず長期間着工されていない事業などについては中止を含めて再評価する、いわゆる時のアセスメントを一九九八年度から導入をする、こういったことを表明し、農林水産、運輸両省も同様のシステムを導入することになった。これがわずか十日ほど前ですが、もう関係者の皆さん方、よくご承知のとおりだと思うんです。  それで、ここでいっていることは、国や各道府県がやることですから、規模の大きい事業が主たる対象になっているかと思いますが、私は、規模が大きいだけではなくて、未着工の期間が長いもの──今、私が取り上げました八つの路線は、これらの対象の物件から見ますと、規模は小さいと思いますね、補助的な道路でございますから。しかし、規模が小さいからということではなくて、一定の期間を経たものは、やはり時のアセスメント的な考え方を導入する必要があると思うんです。くどいようですけれども、五十年ですからね。ここにいらっしゃる人で、相当数の人がまだ生まれていないよ。その前からできた計画が、いまだ何にも手がついてない。あなた方が本当に重要だ重要だということだったら、五十年間何してたんだといいたいけれども、それはまあいいません。  しかし、五十年たったものは、やはり時の変化もあることでございますから、ここは素直に再検討する。既に三回やっているから、あと一回やったっていいじゃないですか。五十六年から、もう間もなく二十年になるわけですから、ぜひともそういった面での検討をし、新たな都市計画の進め方を、代替の方法も含めて考え直す必要がある、こういうふうに考えておりますので、そのことにつきまして、部長なり、あるいは事柄が重要でございますから、局長から答弁をいただきたいと思います。 ◯名倉都市計画局長 ただいま先生から、私どもにとりましては大変厳しいご意見をちょうだいいたしました。  ご承知のように、都市計画道路の見直しにつきましては、先ほど施設計画部長からお答えいたしましたように、その時代時代におきまして適宜行ってきたところでございます。東京と申しますと、やはり世界有数の大都市、こういう位置づけでございまして、この東京におきましては、やはり現在の道路網が最低限必要というふうに私どもは考えてございます。区部におきます現在の整備率が約五五%と、まだ十分でない中で、将来のネットワークを担保するということもまた、東京の持続的な発展を図るというふうな観点からしまして重要であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。  先生からお話のございました時のアセスの問題につきましては、現在、国の方でいろいろ検討をして、今年度から実施に移すというようなことを仄聞してございます。国からの話も、今後私どもに来ることと思いますので、そういったことも踏まえまして、検討させていただきたいと思っております。  なお、都市計画法に基づきまして、道路予定地内の建築制限を行っておりますけれども、前期に事業化に至らない路線のうちで、用途が商業等容積率三〇〇%以上、防火地域等の一定の条件を満たすものにつきましては、建築物の許可基準の緩和を行っているところでございます。長期間権利制限を受けている住民の方々にも配慮いたしまして、可能な限り事業の促進に努めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ◯野村委員 私は、多摩地域の振興と基盤整備の進め方についてお伺いいたします。  ご承知のとおり、多摩の心しんとして、八王子、立川、青梅、町田、多摩ニュータウンの五つの多摩の心しんが定められているわけでございますが、この育成整備を積極的に進めることが、今後の多摩振興の大きな要素になろうかと思っております。  それで、平成八年度の調査として、多摩の心しん育成整備計画についてお仕事をお進めになったと思いますが、この調査がどのような成果となって今日あらわれているのか、お伺いしたいと思います。 ◯勝田開発企画担当部長 平成八年に、多摩の心しんにおける諸機能導入方策の検討調査を行いました。本調査におきましては、多摩地域の自立性を高めるため、業務・商業機能を初め、流通、サービス機能や生活文化機能等を多摩の心しんに導入を促進するための方法や課題の整理を行いました。本調査などをもとに、諸機能の立地可能性やその導入方法等を検討するとともに、関係市、関係局等との調整を進めまして、このたび、多摩の心しん育成・整備計画を取りまとめさせていただきました。 ◯野村委員 今、お話がありましたように、昨日、育成・整備計画が発表されております。昨年発表されました「生活都市東京の創造 重点計画」においても、この整備計画に基づいてさまざまな施策を推進していくということになっております。この計画の策定によりまして、多摩の心しんづくりがどのように今後進められるのか、承りたいと存じます。 ◯勝田開発企画担当部長 多摩の心しんにつきましては、多摩地域を区部依存から自立化に向けて成長させていくための自立拠点として、また、心しん相互及び周辺都市や都県を超えた交流を深めるための交流拠点として、積極的に育成整備することにしております。  そのため、今後、今回の計画に位置づけました市街地再開発事業や土地区画整理事業などのプロジェクト及び交通基盤の整備に向け、関係局、関係市、また、必要に応じまして国、民間等の関係者との具体的な調整を進めまして、それぞれの事業を推進してまいります。 ◯野村委員 多摩の心しんをそれぞれ発展させていくためには、この育成・整備計画を着実に施策に結びつけていかなければならないと思います。計画を単に絵にかいたもちに終わらせないためにも、いま少し具体的な施策についてお伺いいたしたいと思います。  昨日発表された計画によりますと、おおむね十年程度で事業計画を具体化する、そのようにうたわれておりますが、いかがでございましょうか。 ◯勝田開発企画担当部長 今回の育成・整備計画におきましては、二十一世紀初頭を念頭に置きまして、その時点での将来像、これを描いたものでございます。また、その各事業等の具体化につきましては、おおむね十年程度の間に整備をしていきたいというふうに考えております。 ◯野村委員 先ほども河合委員からお話がございましたけれども、私どもは、平成七年三月の育成・整備指針以来、この計画の発表を待ち望んでいたのでございますが、今日、この計画が策定されまして、今後は、ぜひ十年以内で、この事業化ということを積極的に進めていただきたいと思います。  多摩の心しん、五つございますが、私ども当地のお話で恐縮でございますが、青梅を一つの例にとってお伺いいたしたいと思います。  青梅では、既に青梅インターチェンジ、圏央道のインターチェンジが供用開始されました。そこで、今回の育成・整備計画では、青梅の将来像をどのように描いているのか、お聞きしたいと存じます。  こういった圏央道の供用開始、進捗によりまして、多摩地域に広域的なネットワークをつくる、この大きな要素になろうかと思いますが、お伺いいたしたいと存じます。 ◯勝田開発企画担当部長 青梅についてのお尋ねでございますが、青梅市は、多摩川とその緑地を初めといたします豊かな自然環境や、青梅宿として栄えた歴史、文化、これらを背景にいたしました伝統産業とハイテク産業の立地する先端的な産業都市という二つの際立った側面を持っております。今回の育成・整備計画では、産業、文化、生活等の多様な側面にわたる創造性を発揮するため、自然、歴史と高度な産業集積の両面を活用していくこと、圏央道等を介した広域交流の活発化と、広域的な機能、役割の確立を図っていくこと等を育成整備の目標としておりまして、心しんの将来像につきましては、産業、生活基盤の充実した、潤いのある多摩西部の拠点としております。 ◯野村委員 圏央道を介した広域交流の活発化を整備の一つの目標として掲げているわけでございますが、埼玉県、神奈川県との広域的な連携が一層重要になってくるわけでございまして、ぜひそのような目標を掲げた多摩の心しん整備を進めていただきたいと思っているわけでございます。  そこでお伺いいたしますが、また、青梅という一つの限定された地域の質問で恐縮でございますが、圏央道とJR青梅線の交差部の工事が一つの難所でございます。圏央道が二層構造、その上に青梅市の都市計画道路が乗っかって、JR青梅線と交差する。しかしながら、JR青梅線によって市街地が分断されるということを防ぐためにも、ぜひこの工事を進めなきゃならないのでございますが、この辺の進捗状況はどのようになっているのでございましょうか。 ◯山下施設計画部長 圏央道につきましては、青梅市以南におきましても、鋭意、国等におきまして工事を進めているところでございますが、ご指摘のJR青梅線との交差部につきましては、圏央道と市道を一体的に施行することとなっております。この市道につきましては、この三月に事業認可を受けておりまして、十年度の早い時期に一体的な工事に着手する予定というふうに聞いております。 ◯野村委員 青梅市内の市道整備についても、国庫補助をいただかなければなかなか進められない実際の財政状況にあるのでございますが、最近の建設省の東京都への道路財源の問題、また、地方自治体への国庫補助の問題についても、非常に厳しい状況に直面しているわけでございますが、この辺の東京都の取り組みはいかがなのでございましょうか。 ◯山下施設計画部長 ご指摘のとおり、当該一体施行区間につきましては、財源確保が非常に重要な問題でございます。市道整備に要します事業費につきましては、圏央道事業の進捗に合わせまして事業費の確保を図るために、これまで、国庫補助の採択を初めといたしまして、都費による補助もできるよう努力をしてきたところでございます。国におきましては、現在、今年度の予算の審議が行われているという状況でございますが、今後とも、財源につきましては最大限の努力をしてまいりたいと思います。 ◯野村委員 この圏央道は、将来、東京都内の区間で申しますと、青梅から八王子まで延伸されるわけでございますが、その途中、日の出町、あきる野市、そして八王子と、各インターチェンジが供用開始される予定になっているわけでございます。今回、青梅にインターチェンジが供用開始されまして、この地域周辺は農業振興地域でありますが、これからの地域振興の大きなポテンシャルを持っているわけでございます。青梅に限らず、こういった圏央道のインターチェンジ周辺地域の、このような大きな要素を積極的に生かしていただきたいと思っているのでございますが、局の方では、今後、ポテンシャルの向上についてどのように取り組んでいただくのでございましょうか。 ◯勝田開発企画担当部長 圏央道の整備によりまして、東京圏郊外地域に展開をいたします多様な産業集積地と広域的な交流が深まることになりまして、青梅の産業機能の拡充が期待されております。  今後、青梅インターチェンジ付近周辺にハイテク産業等の導入を進め、二十一世紀に向けた産業都市への布石となるような諸計画、事業を推進してまいります。  また、青梅の整備エリアにおきましても、これらを支援いたします企業交流、事業所サービス、就業者サービス等の機能の立地を促進してまいりたいと考えてございます。 ◯野村委員 最後に、要望意見として申し上げたいのでございますが、三百七十万人の人口を擁する多摩の自立ということが、私どもの大きなテーマでございます。現状の都政を拝見いたしておりますと、大変申し上げにくいことでございますが、やはり多摩の私どもから見ますと、二十三区中心の都政といわせていただいているわけでございます。ぜひ今後も、多摩地域の、特に多摩の心しん、五つの地点を中心とした拠点整備を進めていただきたいのでございます。  また、昨年、財政健全化計画の中で、西多摩地域の秋留台総合整備計画そのものが見直しの対象になっておりました。私どもは、十年度予算の復活の中で、何とかこの調査経費でもつけるべしとお願いを申し上げて、三千万、貴重な調査経費をおつけいただきましたが、今後とも、青梅に限らず、それぞれの地点における具体的な施策の推進について、私どもは地味なお願いを皆さんにしていかなきゃならないのでございますが、多摩全体の体系的な整備計画とともに、先ほどおっしゃったように、十年以内で、それぞれの地域の具体的な事業をぜひ推進していただきたいと思います。  以上、要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。 ◯浅川委員 二、三お伺いをいたします。  多摩地域で、立川市の交通渋滞というのは深刻であります。平成四年には、渋滞で救急車が間に合わなくて子どもが亡くなるということもありまして、立川の市議会でも議論になりました。渋滞の解消は多くの市民の要望であります。都市計画道路の中で、大型の幹線道路というのは脚光を浴びているように思いますが、生活にかかわる道路の整備や、あるいは短い路線というのは、取り組みがおくれているように私は感じております。  そこで、立川の三・一・三四号線、いわゆる広路といわれております道路でありますが、広域防災施設の整備や、あるいは資料でお示しいただきましたように、ファーレ、いわゆる業務ビルなどの整備、入居率も高まってきたという中で、車が集中するような施設というのはできておりますけれども、道路の整備というのは、それに見合って進んでいない。そういう中で、混雑が増しているのではないかというふうに思います。  この広路は、五日市街道までの約三百メートルはすべて国有地でありまして、ここのところが整備されれば、幾らかでも混雑解消につながるというふうに思いまして、これまでも要望してまいりましたけれども、地権者であります国や、あるいは地元の住民等の調整の状況について、まずお伺いをいたします。 ◯山下施設計画部長 立川都市計画道路三・一・三四号線のうち、ご指摘の当該区間につきましては、地元と立川市などから成っております懇談会の中で、道路整備のための測量の実施につきまして、地元住民の方々の理解が得られました。そのため、本年一月に、東京都と、地権者でございます大蔵省が現地立ち会いを行い、二月に、道路用地の確保について見通しがついたという状況にございます。 ◯浅川委員 調整が進んで、用地の見通しがつきそうだというふうなことだと伺いましたが、この路線は、都市計画道路という点でいいますと、多摩地域におきます都市計画道路の第二次事業化計画、こういう中におきましては、平成十八年度以降に着手いたします後期路線ということで位置づけられております。早期事業化のための条件整備が整ってきたということで、この後期路線に位置づけられているところから、前期路線に位置づけをし直して、早めて整備すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。 ◯山下施設計画部長 当該区間の道路でございますけれども、多摩の心しん、立川を支えます南北方向の主要路線の一つでございますが、それとともに、また、広域防災基地のアクセスを確保するための重要な路線でございます。  しかしながら、地権者でございます国あるいは地元との調整及びその行方を見守る必要がございましたことから、第二次事業化計画の策定段階では、前期事業化路線として位置づけることができなかったところでございます。このたび、立川市と地元との話し合いの中で、道路整備のための測量実施について基本的な理解が得られ、また、道路用地を確保できる見通しがついたということから、都といたしましては、今後、用地の無償譲渡について合意が調い次第、速やかに工事に着手していくことといたしたいと思います。 ◯浅川委員 今、問題になっております、話題としておりますこの広路という道路は、立川市におきましては中心部で、南北交通の円滑化を図るという点でも、また、ご答弁がありましたように、病院や消防署が整備をされた広域防災施設、これを有効に機能させるためにも、重要な役割を担う道路であるというふうに思います。未整備の区間について早急に整備を進めていただく、このことを要望して、次の質問に移りたいと思います。  生産緑地の問題についてお伺いいたします。  平成八年度、生産緑地の中で宅地化された生産緑地はどのくらいになるのか、また、過去三年間の推移は幾らか、お伺いいたします。 ◯水庭地域計画部長 生産緑地地区につきましてご答弁いたします。  まず、平成八年度の生産緑地地区は四千五十三ヘクタールでございまして、そのうち宅地化されたものは十一ヘクタールでございます。  また、生産緑地地区のうち宅地化されたものの過去三年間の推移を申し上げますと、平成六年度は十五ヘクタール、平成七年度は十三ヘクタール、八年度は、先ほどの十一ヘクタールでございます。 ◯浅川委員 東京都から伺ったところによりますと、市街化区域内の農地の減少が見られます。その推移を見ますと、平成六年度は、前の年に比べて三百二十八ヘクタール減少しております。平成七年度が百七十七ヘクタール、八年度が百四十ヘクタール減少しております。ただいまご答弁いただきましたように、そのうち生産緑地の部分が、六年度十五ヘクタール、七年度十三ヘクタール、八年度十一ヘクタールでございます。当然の結果とはいえますけれども、生産緑地に指定されていることで、農地として、あるいは緑地や都市計画用地として確保されている割合が高いということを示しております。  そこで、基本的なことで恐縮ですが、生産緑地地区というのは、生産緑地法によってどのように位置づけられているでしょうか。 ◯水庭地域計画部長 生産緑地法は、生産緑地地区に関する都市計画に必要な事項を定めまして、良好な都市環境の形成に資することを目的としてございます。生産緑地地区は、市街化区域内農地のうち、保全すべき農地として都市計画上位置づけられたものでありまして、その指定要件といたしましては、一つ目には、公害防止や都市環境の保全等の効用があり、かつ、公共施設等の敷地として適しているもの、二つ目には、五百平米以上の規模、三つ目には、農林業の継続が可能な条件を備えていること、といった要件が定められております。 ◯浅川委員 生産緑地は、農地としての役割が第一義的にあるということは当然だというふうに思いますが、今、ご答弁がありましたように、緑地や都市環境の保全、公共施設の用地としても位置づけられているというふうに思います。  私の家の近くに農地がありまして、そこに看板が立っております。災害時などには避難場所として提供いたしますというような看板であります。公園などを整備して、公共施設として災害施設あるいは避難場所、こういうものを確保するには、莫大な費用あるいは時間がかかりますが、生産緑地がいざというときに提供されれば、同じ役割を果たすわけであります。  現在、農業を続けたいという農家を中心にして、また、いろいろな角度から、生産緑地の追加指定あるいは追加申請を求める声がありますが、この生産緑地の追加申請はどのような場合に認められる、あるいは指定されるのでありましょうか、お答え願いたいと思います。  それで、八年度までの、この決算までの追加指定で、新たに生産緑地に指定した実績を年度ごとにお示しいただきたいと思います。 ◯水庭地域計画部長 追加指定のお尋ねでございますけれども、生産緑地地区の指定は、基本的には平成四年までに完了してございます。しかし、平成五年の建設省通達によりまして、平成五年以降、例外的に、農業者の意向把握により、追加指定の可能な事例が示されております。  例えば、係争中で権利者が確定しなかったなど、真にやむを得ない事由によりまして平成四年中に手続ができなかった場合、それから、平成四年時点には特定市街化区域内農地等になっておらず、その後、土地区画整理事業等の実施に伴う市街化区域への編入により、新たに市街化区域内農地等となった場合、それから、三大都市圏の町村が市となったために、新たに特定市街化区域内農地等になった場合でございます。  また、このほか、地域の実情を踏まえた都市計画決定権者の判断でも指定できることとなっております。  なお、平成八年度までの追加指定実績についてですが、平成五年が百二十ヘクタール、平成六年が十三ヘクタール、平成七年が七ヘクタール、平成八年が四十三ヘクタールでございます。 ◯浅川委員 例外的だとはいいますけれども、生産緑地の追加指定がこれまでも行われているという答弁であります。これらの生産緑地の指定は、市長の判断で行うべきものというふうに考えますが、いかがでしょうか。その場合に、都としては、市の決定を尊重する、こういう立場にあるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◯水庭地域計画部長 生産緑地地区に関する都市計画は、区市町村長が定めることとなってございます。都は、区市の定めました生産緑地地区の案件について、それを尊重しつつ、広域的見地から、他の都市計画と矛盾を生じない等検討を行いまして、都市計画審議会の議を経て案を承認するという手続をとっております。 ◯浅川委員 現在、緑の基本計画の策定というのが各市町村で進められているというふうに聞いております。この策定に際しまして、生産緑地の追加指定は当然あり得るというふうに思いますが、いかがでしょうか。 ◯水庭地域計画部長 緑の基本計画は、都市緑地保全法に基づきまして区市町村が定めることのできる計画でございます。都市における緑地の適正な保全及び緑化の推進を、総合的、計画的に実施するために定められるものでございます。  したがいまして、この緑の基本計画に保全すべき農地として位置づけられたものにつきましては、都市計画上も重要な農地として検討すべきものでありますし、生産緑地地区として追加指定の対象となり得るものであると考えております。 ◯浅川委員 ただいまの答弁に関連してですが、例えば、これまで、生産緑地の指定の時期、先ほど、平成四年、五年、農家の意向を聞いてきたということでありますけれども、その時点で、なかなか将来の見通し、判断がつかなかった、後継者が高校生や大学生で、意向が未定であった、その後、農家を継ぐことになったというような場合の農地などが、こうした緑の基本計画に位置づけられた場合は、生産緑地に追加指定はあり得ると思いますが、いかがですか。 ◯水庭地域計画部長 当該市町村の緑の基本計画に位置づけられたものにつきましては、都市計画上の判断に基づきまして追加指定を行うことは十分にあり得ると考えております。 ◯浅川委員 追加指定についていろいろ伺ってまいりましたが、最後に意見を述べたいと思います。  生産緑地に指定をされた場合には、最終的には農地として管理される必要が当然あります。その意味で、農家の意向というのは欠かせないものであります。しかしながら、先ほど、例外的というご答弁がありましたように、現状では、農家の意向というのは第二義的以下に扱われているのが実態です。平成四年、五年に指定したときとは、現在の農業をめぐる、あるいは都市、経済をめぐる状況というのは一変しているわけでありまして、当時判断がつかなくて、今でも後継者はいないという中で、一部、宅地化を選んだけれども、その中でも農地として農業を続けてきたけれども、もう持ちこたえることがなかなかできないが、自分は死ぬまで農業を続けるつもりだという方が結構いらっしゃいます。そういう中で、それにしても意向による追加指定を認めてもらいたい、こういう声がたくさんあります。  先ほど来の質疑でお答えいただきましたように、この生産緑地が、農業はもちろん、都市計画上も、緑や災害時の避難場所、良好な都市環境の保全に果たす役割、こういうことを考えたとき、農家の意向による生産緑地の指定について、都としても、国に強く要望することを含め、積極的な対応をしていただきたいというふうに思いますし、今、ご答弁がありました緑の基本計画の策定についても、これは都市計画局だけではありませんけれども、東京都といたしまして、面積の要件など柔軟な対応をぜひお願いしたいということを求めて、質問を終わります。 ◯原委員 私の方からは、市街地再開発事業について何点かお伺いしたいと思います。  市街地再開発事業については、防災都市のまちづくり、さらには都心居住の推進、そして土地の高度利用等々、東京のまちづくりを進めていく中にあっては大変有効な手段ではないかというふうに考えております。特に、民間の地権者がみずからの手で行う組合施行の再開発事業については、住民、そして地元の行政等との協働によるまちづくり、こういった観点からも、さらに推進する必要があるのではないかというふうに考えます。しかし、このような事業については、社会情勢の変動、特にバブル経済等の状況をかんがみたときに、大きな影響を受けるのではないかというふうに思います。そこで、今後、再開発事業をより円滑に進めていくためにも、何点か、確認の意味でお伺いしたいと思います。  まず、平成八年度における市街地再開発事業における都の補助金の予算、そして執行額について、多摩地域、二十三区、区部についてどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。 ◯進藤開発計画部長 市街地再開発事業に対します補助についてですが、まず多摩部ですが、これは決算説明書に掲載してございますが、八王子駅北口地区外十一地区で十三億三千七百万円ほどでございます。区部につきましては、財調で措置することになっております。錦糸町駅北口地区等二十四地区で約六十四億九千万円でございます。 ◯原委員 では、都内で現在事業中の組合再開発事業というのはどれぐらいあるのか、また、それ以前に、現在以前に完了した組合の再開発事業というのはどれぐらいあるのか、お伺いしたいと思います。 ◯進藤開発計画部長 平成九年度末現在、事業中の地区ですが、二十六地区ございます。それから、同じ九年度末現在で事業完了地区が三十八地区でございます。 ◯原委員 多くの地域が再開発事業を行ったわけでありますけれども、ここの中で、事業を行いながら、さまざまな問題というか、地域事情によって、その問題点は多岐にわたると思いますけれども、主な課題といいますか、再開発事業を推進する中にあって、特にこの点は反省すべき点、また、この点はよかった点等々がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。特に、完了した三十八地区における問題点、そして、現在事業中の二十六地区における主な問題点がありましたら、お伺いしたいと思います。 ◯進藤開発計画部長 完了地区も、事業中の地区につきましても、大きな課題の一つといたしましては、関係権利者の合意の形成に大変時間がかかっている地区が多いということ。それと、その時間がかかったということに伴いまして、その間の社会経済情勢が変わりまして、計画を変更せざるを得ないケースがあったというようなことが、事業実施上、進捗上の課題であったというふうに承知しております。 ◯原委員 ぜひその辺の課題については、今後とも、多くの地域で理解が得られるよう努力をしていただきたいと思います。特に市街化地域の再開発事業につきましては、そこに該当する地区内の人方だけではないと思います。それを取り巻く周辺の地域の方々にも、多くの影響を与えながら開発事業が進んでいくのではないかというふうに考えます。  そこで、当該地域のみならず、周辺の地域にも十分配慮をした上で推進をしていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  さらに、再開発事業は、大変長い時間、長い年月を要するというふうに聞いております。特に、計画から事業認可を受け、さらに実施に至るという中において、十年もしくは二十年という年月があるように聞いておりますけれども、主な要因というのはどんな点にあるのか、お伺いしたいと思います。 ◯進藤開発計画部長 事業の進捗状況につきましては、その事業の規模、関係権利者の数など、地区ごとの特性によりましてさまざまではございます。一般的には、それぞれ個別のお考えや事情を抱える関係権利者の合意を形成していくことに時間がかかるというふうに考えております。 ◯原委員 戻りますけれども、平成八年度に事業化計画を認可した地区、これはどれぐらいありますか。また、それらの地域が都市計画決定されたのはいつごろなのか、お伺いしたいと思います。 ◯進藤開発計画部長 平成八年度に事業認可した地区は四地区でございます。この四地区の都市計画決定の時期ですが、それぞれ昭和六十三年度、平成四年度、平成六年度、そして平成七年度でございます。 ◯原委員 先ほども、事業計画が都市計画決定されても、大変長いという話をお伺いしましたけれども、平成八年度に事業認可を受けて、計画から事業化まで、ここでは六十三年ですから、約十年ほど要した。特にこの期間というのは、バブル経済が崩壊して、地価の高騰から下落まで、大変大きな変動があった時期ではないかと思いますけれども、そのバブルの影響というものが再開発事業計画の中でどのような形であらわれてきたのか、お伺いしたいと思います。 ◯進藤開発計画部長 事業のおくれという形で影響が出てくることが考えられますけれども、この事業のおくれにつきましては、先ほど申し上げました関係権利者の合意形成などの内部の条件、それと経済情勢の変化など外部の条件、これが複合して生じるものというふうに考えております。
     必ずしも、副委員長がおっしゃるバブル経済の崩壊が原因かどうかというのは一概には申し上げられませんが、関係すると考えられるものとしましては、保留床の処分先、テナントの確保ということが当初の計画どおりにいかなかったこと、そしてまた、予定どおりに事業が進捗していないという影響があろうと思います。 ◯原委員 そうしますと、そうした地域における事業の進捗を図るために、組合としてどのような対策を講じているのか。また、それに対して都はどのような指導をし、対応をしているのか、この点についてお伺いします。 ◯進藤開発計画部長 事業推進上の困難な局面を打開するために、幾つかの地区で、組合が、社会経済情勢の変化に対応すべく、事業計画の見直しを行って、事業の進捗を図っております。具体的に申し上げますと、地価の変動に応じた従前資産評価の見直し、それと、保留床処分を容易にするため、施設建築物の用途を、事務所中心の最初の計画から住宅中心の計画に変更したケース、それと、施設建築物の整備のレベルを変えまして工事費の縮減を図ったケースなどがございます。  東京都はというお尋ねですけれども、組合施行の市街地再開発事業ですから、これは、基本的に民間による事業でございます。したがいまして、東京都が直接、保留床の処分やテナントの確保に関与するということは困難でございます。しかし、事業の推進のために、組合が計画変更が必要というふうに判断された場合、これに伴います事業計画の変更の認可や、必要に応じての都市計画の変更につきまして、できるだけ柔軟な対応をしようというふうに考えているところでございます。 ◯原委員 特に、社会状況の変化により、さまざまな形で変化を余儀なくされている、こういう状況、そして、地価が上がればいいわけでありますけれども、下落した場合には、やはり縮小を余儀なくされてしまう。また、さらに効率性、または高度利用というものを、より多く利用しようという計画になりがちではないかというふうに考えられます。しかし、先ほど申し上げましたように、地権者だけがいい、または開発の地域内だけがいいというのであれば、これは、本来の意味での安心、安全のまちづくり、また、地域開発をしていこうという意図からは外れてしまうのではないかというふうに考えます。  そこで、市街地再開発事業の推進に当たっては、さらに地域環境をしっかり見ていく、地元をなるべく多くとるとか、また、共有面積を町のコミュニティ広場として、存在性をそこにつけ加えるとか、こういった部分での都の指導性なり、または再開発事業についての方向性というものをより明確化される必要があるのではないかと思いますけれども、この点に対して都はどう考えるのか、お伺いしたいと思います。 ◯進藤開発計画部長 市街地再開発事業は、「生活都市東京の創造 重点計画」におきましても、木造住宅密集市街地の整備、都心、副都心の整備、都心居住の推進など、幾つかの分野で有力な事業手法として位置づけておりまして、今後とも積極的に推進していくこととしてございます。  この市街地再開発事業を進めていくに当たりましては、採算性とか市場性というのを踏まえながらも、本来の目的であります防災性の向上とか土地の高度利用、これに加えまして、今、副委員長がおっしゃられましたように、緑や空間の確保など、より快適でゆとりのある都市空間の創造の観点から取り組みが必要であるというふうに考えております。  また、今、副委員長がご指摘の周辺地域に対する配慮についても、十分考えていかなければならないというふうに考えております。右肩上がりの時代から成熟社会を迎えようとしている今日にふさわしい再開発となりますよう、地元区と市と緊密な連携をとりながら進めていきたいというふうに考えます。 ◯原委員 よりよい住環境を創出するために、ぜひさまざまな配慮と、都の指導力を発揮していただきたいと思います。  また、さらに、再開発事業とあわせて、土地区画整理事業等々さまざまな手法を用いながら、防災のまちづくりの推進のための力、さらには、先ほど答弁の中にありました、木造住宅密集地域整備事業の推進等にもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。このことを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。 ◯中西委員 先般、一月二十八日の決算委員会、総務局のとき、震災対策について質問をいたしましたので、それに関連いたしまして、防災都市づくりについて質問をしたいと思います。  東京都は本年三月に、直下型及び海溝型いずれの地震にも的確に対応できるよう、燃えない、倒れない、犠牲者を出さない東京の実現に万全を期することを目的に、地域防災計画の修正を行いましたが、昨年八月に公表された直下型地震の被害想定調査結果を見ると、大田区、品川区の木造住宅密集地域は、建物倒壊、建物焼失の発生等が多く、危険度の高い地域となっております。  都は、こうした防災上危険な状態にありながら、これまで余り改善が進められなかった木造住宅密集市街地を対象に、災害に強い都市づくりを重点的に進めるため、平成九年三月に、防災都市づくり推進計画を策定しました。その後、防災都市づくりの取り組み方はどうでありますでしょうか。また、災害に強い市街地の整備を一層進めるなど、東京の安全性をさらに向上させていく観点から、幾つか質問させていただきます。  このたび、東京都地域防災計画が改定されましたが、木造住宅密集市街地の整備についてはどのように盛り込まれているのか、伺いたいと思います。 ◯林防災都市づくり推進担当部長 今回改定されました地域防災計画(震災編)ですが、この中で、第2部の災害予防計画の、地震に強い都市づくりの推進の中におきまして、木造住宅密集市街地の防災都市づくりを推進することを計画の基本的考え方にしております。具体的に申し上げますと、平成九年三月に策定いたしました防災都市づくり推進計画(整備計画)に基づきまして、燃えにくさの指標であります不燃領域率四〇%以上を整備目標として、当面、十年をかけまして、災害危険度の高い地域から優先的に事業展開を図ることとしております。特に十一カ所の重点地区におきましては、不燃領域率五〇から六五%の達成を目標としております。 ◯中西委員 わかりました。  また、地震に関する地域危険度測定調査の第四回調査の結果も三月に公表されましたが、今回の測定結果では、木造住宅密集市街地はどのように評価されているのか、伺います。 ◯林防災都市づくり推進担当部長 木造住宅密集市街地につきましては、今回調査いたしました各危険度におきまして、危険性の高いランクに評価されております。特に建物倒壊、火災危険度におきまして危険度が高く、防災都市づくりの推進が急務であることを示しております。 ◯中西委員 整備計画では、二十五の重点整備地域を設定し、その中から、緊急に整備を進める地区として、私の出身である地元も入っておるわけでありますが、大田区の大森中地区など十一地区を重点地区に選定しております。その選定の考え方を伺います。 ◯林防災都市づくり推進担当部長 重点整備地域でございますが、木造住宅密集市街地の中でも地域危険度が高く、かつ、特に老朽化した木造建築物が集積するなど、震災時の甚大な被害が想定される地域といたしまして、十九区にわたり、二十五地域を設定いたしております。  さらに重点地区につきましては、地区内の災害危険度の軽減にとどまらないで、広範な木造住宅密集市街地内に安全な空間を拠点的に確保し、より広い地域の防災性の向上に寄与することを目指して整備を進めるという考え方に基づき、重点整備地域の中から、整備効果が高い地区を選定しているものでございます。 ◯中西委員 この計画では、整備目標に不燃領域率を採用しておりますが、どのような概念でありましょうか。また、今回の計画で行政として初めて採用した理由は何でありますか、お答えください。 ◯林防災都市づくり推進担当部長 これまで、防災都市づくりがなかなか進まなかった理由の一つといたしまして、都市づくりを進める上で、共有できるわかりやすい目標値がなかったことが指摘されております。このため、本整備計画では、木造住宅密集市街地を中心とする整備対象地域の特性から、震災時の市街地大火によります延焼の防止を主たる課題としてとらえまして、整備目標として不燃領域率を導入いたしております。  この不燃領域率は、延焼の防止に効果のあります空地と耐火建築物の存在状況によりまして、被害地の延焼性状、いいかえますと燃えにくさでございますが、この燃えにくさを評価するための指標でございます。基盤整備等によります道路、公園などの空地の確保、それとあわせまして建築物の不燃化という、この二つの要素から整備効果を評価しつつ防災都市づくりを進めていくことが重要であると考えております。 ◯中西委員 また、大森中地区、中野南台地区、西新井駅西口周辺地区などでは、密集市街地の整備として、面的整備事業の導入の検討がやられておりますが、これはどういう意味でありますか、また、今後どのように具体化していくのか、説明ください。 ◯林防災都市づくり推進担当部長 お尋ねの、大森中地区など面的整備事業の検討地区につきましては、地区の現状ですとか整備課題から、基盤整備の必要性が高いと考えられる区域であります。しかしながら、整備計画の策定時におきまして、具体的な整備手法、事業手法の選定に至らなかったものでございます。  今後、こうした地区におきましては、引き続き地元の事業熟度を高めるべく、関係区と協議を進め、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の導入を検討してまいりたいと考えております。 ◯中西委員 よろしくお願いいたします。  大森中地区など、緊急に整備を進めるべき、先ほどの十一の重点地区についてでありますが、防災都市づくりの重要性を、地元に住む住民に十分理解をさせるということは、私、緊急のことであると思いますが、東京都といたしましてはどのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。 ◯林防災都市づくり推進担当部長 防災都市づくりを円滑に進めていくためには、その地区の住民のご理解と協力、さらに、積極的な参加を求めつつ取り組んでいくことが重要であると考えております。墨田区ですとか豊島区など、幾つかの重点地区におきましては、既に地元区とともに住民説明会等を実施してきておりまして、また、他の地区におきましても、防災都市づくりの理解を得るために、区の広報等を通じまして、住民への周知に努めてきているところでございます。  引き続き、関係区との連携を図りながら、まちづくり情報の提供を充実するとともに、さらに、まちづくり協議会など地元住民の主体的なまちづくり活動を支援してまいりたいと考えております。 ◯中西委員 しっかり周知徹底してください。また、近くには、オフィスであるとか職場もあるわけですので、東京都としても、より地元区と協力して徹底してください。  最後になりますが、大森中地区など、震災時に甚大な被害が生ずることが予想される重点地区の整備については、都としては、緊急に全力を挙げて取り組まなければならない課題と考えますが、どのように具体的に取り組んでおられるのか、伺います。 ◯林防災都市づくり推進担当部長 重点地区につきまして、震災被害の未然防止の観点から、災害が発生する前から地域の安全性を高める事前復興という考え方に基づきまして、整備を進めていくことといたしております。このために、平成九年度には、重点地区内の事業用地を先行取得いたします防災都市づくり用地先行取得事業、また、老朽住宅の建てかえ等を促進するための緊急木造住宅密集地域防災対策事業を創設したところでございます。さらに、防災生活圏促進事業につきましても、重点地区内で行う公共施設の整備に係る補助率の拡充等を図ったところでございます。  また、重点地区の基盤の整備を促進するために、市街地再開発事業につきましては、十条地区及び東池袋地区の事業化調査を実施するとともに、土地区画整理事業につきましては、十条地区、町屋・尾久地区、鐘ケ淵周辺地区、この三地区について調査を実施することとしております。  今後とも、当局、住宅局、建設局の関係します三局と、区市及び関係機関との緊密な連携のもとに、整備計画に基づく諸施策を強力に推進してまいる所存でございます。 ◯中西委員 次に、羽田空港の沖合移転跡地利用計画について伺います。  羽田空港は、昭和五十九年一月より沖合展開事業が進められておりますが、この事業により、昨年三月、新C滑走路が完成し、羽田空港は、年間離発着能力が二十一万回から二十四万回へ飛躍的に増加いたしました。二十四時間運用が可能な空港となるなど、その機能、可能性というのは非常に大きくなったわけであります。一方、成田空港も、国の計画では、二〇〇〇年の平行滑走路完成を目指しております。  こういう状況の中で、羽田空港を再び名実ともに国際空港といたしまして、羽田と成田両空港で首都圏における国際ハブ空港機能を担い、ふえ続けている航空需要に的確にこたえていく必要性があると思います。これは、日本の将来にも大きくかかわってくることであると思います。そして私は、羽田空港の国際化とともに、沖合移転跡地をどのように活用するかということも、東京の将来、また日本の産業の将来にとっても非常に重要なことであると思っております。  ここで質問させていただきます。この跡地については、過去に、東京都、地元の大田区、そして産業界、経済団体などが利用計画をそれぞれ検討してきたと思いますが、これまでにどのような計画が発表されてきたのか、伺います。 ◯勝田開発企画担当部長 東京都は昭和六十三年九月に、広域防災、科学研究、産業技術交流機能を有する緑豊かな未来都市という基本理念のもとに、羽田土地利用基本計画を策定しております。  また、地元大田区では平成二年三月に、地域広域ニーズとの結合、生活と産業の融合、都市と自然との交流を基本目標といたします、「羽田エアフロントシティ21」という提案を発表しております。  地元経済団体につきましては、東京商工会議所が昭和六十一年から、会員企業によりまして、この問題を調査検討するための協議会を設置しておりまして、平成五年三月に、空港区域と周辺地域が共生する空港都市をコンセプトとした土地利用計画案を発表しております。 ◯中西委員 過去のこれらの計画は、どれも、当時としては非常によく検討されたものと受けとめております。しかし、その時代と比べて、羽田空港をめぐる環境、そしてまた、東京も含めて日本の経済状況、地元の経済状況も大変大きく変わってきておるわけであります。人、物、情報、資本、技術などがグローバルに行き交う二十一世紀を見据えるとともに、近い将来における羽田空港のさらなる機能向上も踏まえて、新たな視点で利用計画を検討することが大変大切だと思います。  このような新たな状況の中で、東京都が平成九年六月、昨年、運輸省、大田区共同で、羽田空港の跡地に関する調査を実施しておりますが、この中で跡地利用調査委員会が設置され、検討を進めていると聞いております。この委員会は、どのような目的で、また、どのようなメンバーで構成されているのか、また、この委員会では、沖合移転跡地はどのような役割を担うべきだと考えているのか、あわせて伺います。 ◯勝田開発企画担当部長 羽田空港の沖合展開に伴い発生する跡地は、空港に隣接し、都内に残された貴重な大規模国有地であり、また、その開発処分に対する社会的関心が高まっております。  このようなことから、跡地の利用計画を策定するに当たりましては、幅広い見地からの指導、助言等を得ることを目的といたしまして、運輸省、東京都、大田区の三者による調査におきまして、跡地利用調査委員会を設置しております。委員会は、黒川洸東京工業大学大学院教授を委員長といたしまして、学識委員五名、行政委員四名の合計十名により構成されております。  また、昨年度の調査委員会におきましては、沖合移転跡地は、二十一世紀の日本の発展を先導する、創造、交流の拠点としての役割を担うべきものとされております。 ◯中西委員 このような委員会を設置して検討することは、大変結構なことだと思いますが、今後もさらに、情報公開ということを大々の基本として、十分民意を反映し、また、地元のいろいろな事情というものを十分反映して、東京都民にわかりやすい、開かれた委員会運営──とにかく委員会運営というのはブラックボックスといわれておりますので、開かれた委員会運営をぜひとも心がけてほしいと思います。  今、お話がありましたが、二十一世紀の日本の発展を先導する、このような視点は非常に大切だと思いますが、六千余の中小企業の工場が集積する大田区は、高度経済成長期の日本の経済をまさにリードしてきて、現在でも、真に日本経済の屋台骨であることは間違いないわけであります。しかし、近年では、国際的な経済環境が大きく変化しておりまして、産業の空洞化というものが、これはもう前々からいわれておりますが、特に昨今、懸念されているわけであります。日本の将来にもかかわる大きな問題であると思うわけであります。  私は、先ほど答弁された跡地の役割を踏まえるとともに、元気な東京の再生、また、産業の再活性化ができるような土地利用をぜひとも実現すべきだと考えますが、調査委員会の中では、土地利用の基本的な考え方等はどのようにまとめているのか、お答えください。 ◯勝田開発企画担当部長 この沖合移転跡地を、人々の多彩な交流、交歓の場や、豊かな環境形成の場とするとともに、大田区を初めとする京浜臨海地域の高度加工技術やハイテク中小工業と連携しつつ、先端的な研究開発機能の導入を図るなど、創造的な産業活動の場にふさわしい都市空間の形成を目指すことを基本的な考え方といたしております。このような土地利用を実現することによりまして、創造、交流の拠点としての役割を担っていくこととしております。 ◯中西委員 ぜひとも、これらの日本、そして東京の、有効な、有用な産業資源を最大限活用し、そして活性化していっていただきたいと思います。  土地利用の基本的な考え方についてはわかりました。これを今後どのように具体化するかということが次に求められると思いますが、十年度にはどのような内容を取りまとめようとしているのか、また、東京都としての土地利用計画の策定についてはどのような予定になっているのか、あわせて伺います。 ◯勝田開発企画担当部長 沖合移転跡地の利用計画につきましては、昨年度に取りまとめました土地利用の基本的な考え方を踏まえ、十年度には、都市基盤整備や開発手法などを含めた計画案の検討を行うこととしております。  さらに、これらの検討結果をもとにいたしまして、関係者間の協議を重ねながら、十一年度以降に、東京都としての跡地利用基本計画を取りまとめる予定でございます。 ◯中西委員 わかりました。  青島知事は、東京都知事として初めて、羽田空港の国際化を政策として掲げております。我々自由民主党東京都連も、さきの衆議院議員東京四区補欠選挙において勝利をさせていただきましたが、羽田空港の国際化は、公約として掲げてまいって当選をしたわけであります。ある意味では民意なわけでありまして、この問題は、国政であっても、地元の東京都、そして大田区が世論をリードして、ぜひとも実現すべき問題であると思います。  跡地利用計画も同様だと私は考えます。沖合移転跡地は国有地でありますが、この利用をどうするかについては、東京の都市づくりに責任を持って、東京都がリードして議論を進めていく必要性があると考えます。利用計画の策定に取り組む都市計画局長の決意をお聞かせください。 ◯名倉都市計画局長 二十四時間空港となりました羽田空港の国際化とともに、この空港に隣接いたします跡地の有効利用につきましては、東京はもとより、首都圏全体の産業経済の活性化を図る上で、重要な政策課題であるというふうに認識いたしております。昨年度から進めてまいりました、運輸省、東京都、大田区による共同調査は、三者が対等の立場で取り組むこととなってございますけれども、他方で、この三者の連絡会議の事務局は東京都が務めておるわけでございます。  今後、都といたしましては、連絡会議の運営などを通じまして積極的な役割を果たし、利用計画の取りまとめをリードするという決意を持ちまして、この問題に取り組んでまいります。 ◯中西委員 これからは地方分権の時代となります。これは間違いありません。産業経済を活性化し、住民の生活を豊かにするため、地方自治体がみずからの責任と判断で、二百ヘクタールあるといわれている跡地の土地利用を決めるべきだと思います。東京のリーダーシップは、全国の同じような開発にも、はかり知れないほどの大きな影響を与えるのではないかと思っておるわけであります。その意味でも、大変大きな責任があるわけであります。  最後に、東京都は、東京の発展とともに、今後の我が国全体の発展を真剣に考える立場から、強いリーダーシップを発揮して、土地利用計画の策定に取り組まれることを要望しまして、次の、都市交通の新たな担い手、LRTの質問に移ります。  ヨーロッパの諸都市でも活躍しているLRTは、従来の路面電車をさまざまな点で発展、進化させ、チンチン電車のイメージを払拭した、全く新たな都市内の公共交通システムとして機能しております。地域交通の整備に当たっては、このような新しい交通システム、LRTの導入が東京でも有効であると考えられますが、LRTのメリット及び導入に当たっての課題、多くの問題点があると思いますが、何であるか、お答えください。 ◯山下施設計画部長 LRTは、地下鉄などに比べまして建設費が安いこと、動力が電気でございますために排気ガスが出ないこと、あるいは、最新技術を取り入れた車両の使用によりまして、低振動、低騒音であること、また、低床式車両の採用によりまして、乗りおりがスムーズにできるなどのメリットを有しております。  一方、課題といたしましては、LRTの導入空間が主として道路となるために、既存の自動車交通との整合性をどう図るか、あるいは、都市景観を重視した場合の架線、電車の上に張る線をかける装置でございますが、こうした架線の処理をどうするかといったような問題、あるいは公共交通の導入を契機とした沿線まちづくりとの整合性をどうやって図っていくか、それから、建設及び運営面での助成制度の確立などが考えられております。 ◯中西委員 東京都では、昨年度より、LRT導入に関する調査を始めていると思いますが、この調査が、東京へのLRT導入の出発点となることを大いに期待しておるわけであります。  そこで伺いますが、二カ年の予定で行っているこの調査の今年度の取り組みはどうなっているのか、お答えください。 ◯山下施設計画部長 二カ年にわたります調査でございますが、最終的な取りまとめは、現在取りまとめ中でございますけれども、昨年度の調査におきましては、大都市東京に適したLRTの導入パターンにつきまして、例えば交通不便地域での交通改善のパターン、あるいは、新たな都市開発を伴うエリアでの、域内交通としての適用ができるかといったようなパターン、これらの数パターンを設定いたしたところでございます。  今年度は、ここで設定いたしました導入パターンごとに事例研究を実施いたしまして、LRT導入に当たっての具体的なイメージあるいは課題などを明らかにしていく予定でございます。 ◯中西委員 最後に要望でありますが、私の住んでおります大田区の大森地区においては、かねてより、既成市街地──これは大森駅東口になりますが──と、交通が今非常に不便で問題になっております臨海部──大田市場などがございますが──を結ぶLRTの導入について、地元の市民グループが大変熱心にこの研究を行っているわけであります。また、地元区においても、以前、当地区への新交通システムの導入についての調査を行った経緯がありまして、その必要性は地元でも大いに認められているところであります。これからの時代、地域のまちづくりは、各地域が中心となって行っていくことになりますが、都においても、このような地元区や住民団体等の自発的な取り組みというものに対して、ぜひとも積極的に支援、協力するよう強く強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ◯高野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。    午後三時十八分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時三十三分開議 ◯高野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  発言を願います。 ◯たぞえ委員 私は、東京の都市づくりの政策立案局である都市計画局の都市行政について、決算を踏まえて質疑をいたします。  振り返ってみますと、八年という年は、都市計画局にとって、用途地域の見直しを行った年でもありますし、また、多摩新宿線や外郭環状道路などの幹線道路計画、また、区部中心部整備計画や防災都市づくり計画など、重要な都の施策が次々と発表されて実施に移った、そういう年でありました。都民にとっても、この都の都市行政がどういう方向に流れていくのかと、大変な関心を示しているだけではなくて、みずから、自分たちの将来の東京がどう進んでいくのかという点でも、都民がかかわってきた大事な年でありました。  そこで、私は、こうした行政施策の中でも、七年度、八年度に東京都が予算を計上して調査を行ってきました外郭環状道路計画についてお伺いをしたいと思います。  外郭環状道路は、きょうの資料でも出ておりますが、東京都の中心部から十五キロ、円をかくような、延長八十五キロの自動車専用道路でありますが、これは、昭和四十一年の七月に都市計画決定をしました。当時、東京周辺では、東名高速道路や中央自動車道などの整備がちょうど行われているときで、また、都心部でも、高速道路の計画と事業化が進められているときで、いわば今後の東京の高速道路網の計画のあり方について大変大事なときでした。とりわけ昭和三十二年七月、建設省が東京都市高速道路に関する基本方針を示したというふうに聞いておりますけれども、路線についてはどういう点を考慮しなければならないと、国は都に示したのでしょうか。 ◯山下施設計画部長 昭和三十二年に建設省が発表いたしました東京都市計画都市高速道路に関する基本方針は、主として首都高速道路都心環状と、それにつながる五放射線を対象としたものでございましたが、その路線につきましては次のようなことがいわれておりました。路線といたしましては、都心部と環状六号線とを結ぶ放射路とし、路線の選定に当たっては、市街地の土地利用を考慮し、原則として家屋の密集地を避け、努めて不利用地、治水、利水上支障のない河川などを使用するものとして、やむを得ない場合には、広幅員四十メートルの道路上に設置するとしておりました。そのほかに、道路の性格あるいは構造等についても示されているところでございます。 ◯たぞえ委員 そうした都市高速道路網の基本的な方向が国から東京都に示され、そして当時、東京都都市計画地方審議会は、この国の方針、付議を受けて、高速道路網の整備検討に入っていくわけです。当時、都市計画決定した路線は、東京で百二十一キロということでありますから、都市計画道路以外の高速道路網の整備量は大変な数だったわけです。したがって、道路網の設定に当たっての基本的な骨組みとして、通過位置の選定ですとか、周辺の土地利用を考慮するという方針がとられたわけです。その都市高速道路網の一つに、今回の外環道路網の計画が入っていたわけで、路線予定地の関係自治体からは、自然環境や生活環境に影響が出るのではないかという懸念が指摘されました。各自治体や議会では活発な議論が行われまして、この道路計画についてさまざまな見解が示されたと思うんですが、どういう態度が示されたのでしょうか。 ◯山下施設計画部長 当時、都市計画決定した際に、一部の関係区市からは、外環の計画に対しまして反対の旨の意見表明があったと承知しております。その中には、例えば、多年整備してきた住宅地を通過するものである、あるいは、計画を立てる段階において市長に話がなかったというようなこと、あるいは、小さな都市を二つに分断してしまうといったような意味の表明があったと承知しておりますが、都市計画審議会におきましては、そうした議論を踏まえつつ、たびたびの審議を重ねた結果、計画決定に至ったものというふうに承知しております。  また、その後でございますが、環境や地域分断などの問題から、昭和四十一年以降、世田谷区を除きます関係六区市の議会からも反対の意見表明がなされております。 ◯たぞえ委員 今、答弁がありましたように、武蔵野市、練馬区、調布市、狛江市、杉並区、三鷹市などで、昭和四十一年四月以降、次々と反対、また、路線の変更ですとか、意見書などが出されたわけです。東京都議会でも昭和四十三年六月には、この計画に反対をする請願の審査が行われて、請願を採択しました。いわば計画そのものが、住民の生活環境を著しく脅かすものであるという地元行政や議会の態度があらわれたわけでありますから、当然、理解が得られなかったというふうに私は考えます。これが今日までの、この外環道路計画決定以来の事実です。  こうして、都市づくりのあり方について住民から明確な意思が表明されて、東京都、国もこれを尊重せざるを得ない、こういう長い時間の経過がありました。ですから、当然、事業は手をつけるわけにいかなかった、見送らざるを得なかったということだと思うんです。  そこで、東京都は、今日もそういう事実についてどのような認識をお持ちなのでしょうか。 ◯山下施設計画部長 この外環の都市計画決定に際しましては、東京におきます自動車交通を円滑に処理するためにはこの計画が重要であることの一定の理解が得られたために、多くの議論があったにもかかわらず、必要な都市施設として都市計画決定されたものであると考えております。  しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、環境や地域分断等の問題から、世田谷区を除く関係区市の議会からの意見表明、あるいは地域住民などの反対運動があったことは事実でございます。しかしながら、今日におきまして、快適で能率的な都市東京を実現するためには、東京の自動車交通体系を大きく改善していくための道路網の整備が必要な状況となっていることは、ご承知のとおりでございます。  この間、社会経済状況も大きく変わり、また、技術の進歩も見られる中で、東京の交通問題を解決していくためには、考えられる新しい技術などを用いながら、東京を取り巻く、いわゆる三環状九放射という考え方がございますが、そうした高速道路網体系の一環として、この外郭環状道路を整備することが必要でございます。そのために条件整備を行っていくことが必要でございまして、都民の理解を得るための最大限の努力をしていくことが極めて重要であるというふうに認識しているところでございます。 ◯たぞえ委員 現在の凍結をしている事態についての認識を伺ったわけでありまして、今後の認識は、そこまでまだお伺いをしておりません。  国会では、都市計画決定後、外環道路計画についての事業の推進についてはどういう態度を今とっているのでしょうか。 ◯山下施設計画部長 関係区市議会の反対決議、あるいは地域住民の反対運動などを受けまして、都内区間につきまして、昭和四十五年に建設大臣が参議院建設委員会で、地元と話し得る条件の整うまではこれを強行すべきでない、その間においてはしばらく凍結せざるを得ないと思っていると発言しております。しかし、その後、国におきましては、関越道から常磐道間の整備を進めますとともに、その必要性についての認識を深め、外環が環状道路を形成できるよう、残りの千葉県におきまして、松戸―市川間についての実現について努力をしてまいりました。また、都内の残り区間につきましても、先般発表してございますように、思い切った構造の変更などについて検討を重ねるなど、さまざまな努力をしているというふうに考えているところでございます。 ◯たぞえ委員 要するに早い話が、今おっしゃられました、国会で凍結宣言されて以来、国会としては議論がされてないわけでありますから、現時点では、当時四十五年十月の水準にとどまっているはずなのです。  それで、少し細かく伺いますけれども、当時、建設大臣が東京都都市計画地方審議会に付議をした──当時ワープロがなかったのでしょうか、ガリ版刷りの文書がありますが、この中で、この道路につきまして、埼玉県境から世田谷区までの約十八キロ区間について、とりわけ東名高速道路から中央自動車道、それから中央自動車道から関越道、それぞれの区間の道路幅員は、当時どのような都市計画決定をしているのでしょうか。 ◯山下施設計画部長 埼玉県境から中央道までの間の標準幅員は、自動車専用部が二十三メートル、一般街路を含む標準幅員は全体で四十メートルでございます。また、中央道から東名高速までの間は、自動車専用部が三十・五メートルで、一般街路、これは附属街路となっておりますけれども、これを含みますと標準幅員は四十二メートルでございます。 ◯たぞえ委員 そうですね。中央高速から関越までは標準が二十三メートル。中央高速から東名高速までが三十・五メートル。今、四十メートルとおっしゃられたのは、この高速道路以外の部分の側道なども含めた幅員を指しているわけです。  今回調査を行った計画幅員は、おおよそどの程度になるというふうに見込んでいるのでしょうか。
    ◯山下施設計画部長 現在まだ具体的に幅員を想定しているわけではございませんが、先般発表いたしました、地下構造を有力な案とするという中では、現在の一般街路を含む標準幅員でございますけれども、この計画幅員を尊重して今後検討していくということになっております。 ◯たぞえ委員 調査報告書を読んでみますと、地下構造と地上構造二つが調査されていますが、およそだれが見ても幅員は大体四十メートルだろうというふうに見るわけですけれども、まだ確定してないとしても、昭和四十一年に決定した幅員をそのまま引き継ぐということではなくて、新たな構造物であるから新たな路線の幅を検討せざるを得ないというところにあるのだろうと思うのです。  当時決定した東京区間についての道路構造ですけれども、どういう方向で決定されるのでしょうか。 ◯山下施設計画部長 現在、練馬関越道以南の道路構造は、高架構造、かさ上げ方式になっております。 ◯たぞえ委員 今回調査して見通しが立ったといっていますけれども、その構造はどういう構造ですか。 ◯山下施設計画部長 構造につきましては、詳細につきましてはまだ具体的に決まっておりませんが、平成九年、昨年の国と東京都から成ります第一回目の東京外郭環状道路懇談会におきまして、環境保全、まちづくり、そうした観点から地下構造を含めた検討を行った結果、今後は、地下構造、ボックス構造などを有力な案とするといたしたところでございまして、今後、地域の意見を聞きながらさらに検討していくこととなっております。 ◯たぞえ委員 もう一つ具体的な点だけ伺うのですが、今回の調査方針では、全線を何車線にしようという方向で打ち出されているのでしょうか。 ◯山下施設計画部長 今回の区間におきましては、高速道路の本線は六車線といたすことといたしております。また一般街路につきましては、今後、地域の意見を聞いて決めていくということでございまして、特に車線などはまだ決まっておりません。 ◯たぞえ委員 現在の都市計画決定ですと、東名―中央区間は六車線、中央―関越区間は四車線というのが、その四十一年の決定内容なんですね。東京都が行った調査は全線六車線ということになりますと、当時の都市計画決定は一体何だったのか、今、凍結、また地元自治体が推進について異議ありといっているあの意思決定は一体どう尊重されるのか、大変不思議になるわけです。構造方式でも、高架から地下構造にする、幅員も違う、車線数も違う、こうなりますと、やっぱり歴史的な経過について、事実上違う計画で突き進むのではないかということを危惧するわけです。  先ほど、資料要求の、都市計画決定後二十年、三十年、四十年というお話がありましたけれども、都市計画決定を一たん廃止をするわけでもないが、かつての計画決定は存在をし、また違う方向で再検討をしていくということになりますと、そういう手続というのは今あり得るのかどうか。そういうやり方で都市構造の再構築を進めるということが、果たして大都市東京で住民の合意を得られるのかどうか。私は、そのやり方についても大変問題があるというように思うわけです。  とりわけ、せんだって、都市・環境委員会でも私が指摘もしましたが、この外環道路のパンフレット、平成七年につくられたパンフレットと八年につくったパンフレットでは、その地元自治体の反対などの意思がこのパンフレットに書かれているわけですが、それが削除されるなど、やはりこういう点でも、生活都市を進める東京都の施策のあり方として、ルールを重んじてないのではないかということをいわざるを得ません。しかも、国会での凍結宣言も、こういう今の方法ですと、覆すことになるのではないかと思うのです。  そこで伺いますが、東京都はいつから、一たん決めた計画やルールをよみがえらせるような権限を国にかわって与えられているのか、お答えいただきたいと思います。 ◯山下施設計画部長 都市計画を変更するのは、基本的には、この高速道路につきましては東京都知事の役割でございまして、これは新法になってからずっとそういう形で生かされております。 ◯たぞえ委員 もうちょっとお話ししていただきたかったのですけれども、こういう大事な将来にわたる道路計画については、やっぱり丁寧に、しかも慎重に、そして当時の計画決定が凍結されているわけでありますから、なぜなのかという原点に立ち戻って、東京の高速道路はどうあるべきか、大いに都民的な議論をする。そういう前提に立たなければ、地元合意も得られないというふうに思うわけです。既に東京都は懇談会、連絡会を開いているようですが、そこでは、各区や市から、この問題について推進をするというわけではなくて、意見を述べさせていただく場であるというように、非常に慎重に対応をされているのも、その点にあるというふうに思うわけです。  ところで、今、日本の公共事業への投資のあり方がいろいろと指摘されています。私も改めて、公共事業とは一体何か、勉強させてもらいました。大変驚きましたけれども、アメリカの道路投資は年間三十二兆円だそうです。これに比較して、日本はアメリカの国土の二十五分の一、人口二分の一の小さな島国でありながら、道路投資は年間三十七兆円、こういう状況だというふうに知りました。しかも、今後国は十三年間に六百三十兆円の公共投資を計画しておりますけれども、大変膨大な税金を使うわけです。今回の外環道路調査、この事業費規模ですけれども、どのような額になると想定されているのでしょうか。 ◯山下施設計画部長 今回の十六キロメートルの部分でございますけれども、事業費は、現在のところは具体的にまだ積算をされておりません。これにつきましては、従来の事例を考慮いたしますと、従来は、現在完成している関越以北の大泉区間で、一キロメートルにつき約一千億円程度かかっているというふうに聞いております。 ◯たぞえ委員 先ほど冒頭にいいましたように、多摩新宿線の調査結果の場合は、この路線を使えば三兆円とか、二・五兆円とか、一・五兆円とか、金額が計画発表の際に出されました。ところが今回はなぜか出てこない。やっぱり今、厳しい財政危機を背景にしていますから、安易にこれだけかかりますと、こういうふうになかなかいえない状況にあるのじゃないでしょうか。しかも、昭和四十一年の当初計画の段階では、高度経済成長期ですから、東京を中心として、人口も産業も東京に集中する傾向の時期で、道路計画は国の骨格施策として大変注目を浴びたわけです。今回の調査報告は、日本のバブルの最盛期の波に乗っているままで今回調査が行われているんですね。本当にこれから、今、日本の財政危機の中で、これだけの、キロ一千億円という膨大な税金を投入できるだけの力が果たしてあるのかどうか。バブルが終えんを迎えた中で、そういう財政投資の余力と余裕があるという自信を持って、今回この調査結果を出されていらっしゃるんでしょうか。 ◯山下施設計画部長 外環の整備につきましては、これは国土開発幹線自動車道として位置づけられておりまして、基本的には国において整備されるものというふうに考えております。 ◯たぞえ委員 地下は国、地上は東京都、役割分担非常に明快でありますけれども、しかし、お金は同じ税金という財布から出てくるわけでありまして、やっぱり私たち都民にとってみたら、そういう膨大なお金、十六キロですと一兆六千億円ですか、それにはとどまらないはずでありますから、そのとおりいくのかどうか、大変注目をするところです。  問題は財政だけじゃありません。これまでやっぱり東京の道路を考えてみますと、自動車がふえれば道路をつくる、道路をつくれば自動車がふえる、双方が必死に追いかけ合って、終わりのない道路建設が続いてきました。公共事業の専ら中心は道路整備ということだったわけです。今、区部二十三区の道路面積は、土地の広さの一五%が道路によって占められていますが、これが将来三〇%になるというのが東京都の方針のようです。ですから、土地を十に分ければ、そのうちの三つが道路で、残りの七つだけが都民が暮らす場所。それ以外にもちろん、空港も、河川も、沼地もあるでしょうし、公園もあるでしょうし、都民にとっては住むところもだんだん狭くなってしまうわけです。多摩地域は将来一〇%の道路面積にするということでありますが、しかし多摩といえども、山岳部があるし、湖があれば河川もあるし、道路として不適応な地域も数多くあるわけで、区部のような面積までに拡大するのは到底無理だというふうに思うのです。  そこで、最近議論を聞いていると、東京都は盛んに道路率が低い低いといっていますけれども、道路面積でいろいろと調査をしましたら、多摩の道路面積は今七千三百三十一ヘクタール。これは八七年の段階で、それだけの広さが道路でした。九二年になりますと七千六百四十三ヘクタール。約三百ヘクタールも道路面積はふえています。しかし一方で、公園面積はこの五年間で多摩では百五十ヘクタールしか拡大されていない。ですから、先ほど生産緑地の話がありましたが、道路用地を獲得するためにどうしても農地を減らすとか、または住宅地の面積を縮小するとか、こういうことをやらざるを得ないわけです。  こうして道路の面積が拡大されていきますと、次に起こるのはやっぱり輸送のための自動車が大変ふえるということなんですね。東京都の自動車公害防止計画を改めて読ませてもらいました。そうしましたら、この中で、今、首都高速道路を走っている車は一日八十七万から八十九万台だそうですけれども、そのうち五トン以上の車の走行車両数は七万八千台、大体一〇%が大型車。その中でも超大型車が高速道路を走っています。ですから、今後道路がふえれば、当然道路を走る自動車の量は拡大するというふうに見て不思議でないと思うのですね。それは現に東京の貨物輸送量に端的にそのことがあらわれていまして、六年度、東京都の貨物輸送量四億一千万トンに対して、自動車に依存する量が九割を占めているわけです。鉄道はわずか二%で、あとは船舶ということになりますと、道路がふえればふえるほど、どうしてもそういう輸送力を自動車に頼らざるを得ない。  こういうことを考えますと、私はむしろ、道路建設というのは、やるべきことなのですけれども、やってはならない道路建設もあり得るのではないかという選択肢も考えるわけなんですね。貨物輸送の手段をこれからも自動車に依存する限りは、永遠に道路をつくり続けなければならない、こういうサイクルを進めることになりかねないと思うのです。  今回のこの外環の調査報告書は、七年度、八年度で、二年間で三千八百七十万円の予算を執行しての調査でありました。大変貴重な税金がこの調査のために使われたわけでありますが、やはり住民が今求めているのは、町中にミニバスや、先ほどあったLRT、また鉄道の整備や交差点の改良、生活道路の整備や歩道の拡充、そして生活や営業や、また学習のできるような地域交通をどう一刻も早く確立するかということが、私たち都民の中で多く求められているんですね。  最後に、そういう点でお伺いしておきますけれども、局長に急に申しわけないのですけれども、私は道路は必要だと思いますが、しかし、もっと都民の暮らしにそのまま役立つ道路の整備、また、電気自動車やLRTとかミニバスとか、そういった公共交通の拡充を都としてもっと努力を──していると思うのですけれども、もっと努力をしていくべきだと思うのですが、その決意を伺いたいと思います。 ◯名倉都市計画局長 東京の都市交通を見ますと、世界的に見ましても、東京に限っていえば、地下鉄を初め、非常に公共交通の発達した都市だというふうにいわれておるわけでございます。そうした中で、公共交通とともに自動車交通が東京の総合的な交通を支えている、こういう現状でございます。確かに自動車交通の場合はいろいろ公害等問題がございますので、方向といたしましては、できるだけ公共交通を整備していきたい、こういう方向を踏まえてやっていきたいというふうに思っておりますけれども、現在の自動車交通の状況を見ますと、やはり都市計画道路を整備せざるを得ないというような状況もあるわけでございまして、公共交通と道路が相まって東京の交通を支えていく、こういう考え方で整備を進めていきたいというふうに考えております。  また、LRTやミニバスなどでございますけれども、これはあくまでも地域交通としての交通手段でございまして、現在、そうした交通手段の重要性に対する認識が高まりつつあることも事実でございます。しかしながら、東京という大都市の暮らしや都市活動を支える自動車交通を円滑に処理しまして、快適で魅力的な都市を実現するためには、冒頭に申しましたように、さまざまな交通のレベルに応じた体系的な交通網の整備が必要であるというふうに考えてございます。  こうした観点からいたしましすと、外環、圏央道、中央環状線とともに三環状をなし、おくれている環状方向の自動車交通を強化しますとともに、東京の道路交通の骨格を形成する大変な重要な路線でございますので、こうした幹線道路につきましても整備を進める必要があるというふうに考えているところでございます。今後とも、多様な交通特性、地域性に応じまして体系的な交通網の整備が必要であると考えておりますので、こうした方向で整備を進めていきたいというふうに考えております。 ◯たぞえ委員 最後に要望ですけれども、都市計画局の決算書を、私、説明いただいてからずっと一ページ一ページ全部見ました。しかし、きょう私が質疑いたしました外環については一言もどこにも出てこない。一体この決算書の中のどこに出てくるのだろうということで見ましたが、わかりませんでした。わかったのは、何々調査等の「等」の中に全部含まれてしまっているわけです。私たち議会は、年間何千億という局の決算を審議するわけでありまして、一つ一つの事業が、開いたページの中のここにそのテーマがあったのかと、こういう予算で、執行額で、残がこうだったとわかるように、決算書というのはあるべきではないかというふうに思うわけです。何もかもすべて細かく書けという話ではなく、大事な事業を提案した八年度だったわけですから、例えば用途地域では何ぼ使ったとか、防災都市づくりの冊子をつくるんでは幾らだったとか、そういうふうにぜひ今後改善もしていただいて、だれが見てもわかる都財政の実態といいましょうか、決算を提示できるようにご努力いただきたいということを要望しておきます。 ◯大西委員 先月末に閣議決定されました五全総、最後の全総といわれておりますけれども、それでは、今後は、全国計画や首都圏整備計画のようなブロック計画にも地方分権のシステムを導入することが必要と指摘されております。この点についてのご見解を伺いたいと思います。 ◯細渕総合計画部長 今回策定された新しい全国総合開発計画「二十一世紀の国土のグランドデザイン」においては、地域住民の積極的な参加のもと、地域がみずからの選択と責任で地域づくりを行うためには、その基礎として、地域づくりに必要な事業を行うに足るだけの権限や財源を地方公共団体が有していることが不可欠であるとしております。  都といたしましては、特色ある地域づくり、住民ニーズに柔軟に対応できる施策の選択など、自治体の個性ある施策の実現のためには、地方分権をさらに推進し、自治体や地域の住民が主体となって計画を決めることができる仕組みづくりが重要であると認識しておりまして、首都圏整備計画などについても、基本的にこの考え方に立って策定されることが望ましいものと考えます。 ◯大西委員 現在でも、中部圏開発整備計画では、関係の県知事などによって構成される協議会が計画案を作成することになっていたり、沖縄県の振興開発計画でも、知事が計画案を作成することになっております。しかし首都圏整備計画では、知事は、国が決定しようとする計画に対して意見を述べることができるということにとどまっているわけで、国土総合開発計画法の見直しの必要を受けて、現在国では、首都圏整備法を含めた首都圏整備計画の制度についても、その新しいあり方について検討を行っていると聞いております。東京都としても、地方分権推進の観点から、広域計画への積極的なかかわりを持つべきと考えておりますけれども、その点はいかがでしょうか。 ◯細渕総合計画部長 新しい全総におきましては、ただいま委員からお話のございましたとおり、国土計画の理念の明確化の要請や、地方分権、行政改革等の諸改革に対応する必要から、国土総合開発計画法等の抜本的な見直しを行い、二十一世紀に向けた新たな要請にこたえ得る国土計画体系の確立を目指すとしております。  都といたしましては、これらの計画の策定過程において、これまでも、東京都の意見を反映すべく、国に対する意見表明や要望を重ねてまいりましたが、今後、こうした国の考え方の変化をとらえまして、地方分権をより一層推進するため、諸権限の地方への移譲などを国に働きかけるとともに、七都県市を初め都市間の広域的な連携を強化するなど、望ましい広域計画づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◯大西委員 地方分権推進委員会の勧告、ことに第一次勧告の第三章、地域づくりと地方分権の都市計画の項ですけれども、これを受けた都市計画中央審議会の答申についての都の見解をお伺いしたいと思います。 ◯水庭地域計画部長 地方分権推進委員会の勧告等は、都市計画の決定など地方公共団体の行う都市計画に関する事務を自治事務とすることを基本的な方向としております。住民に身近な区市町村の役割を一層拡大する観点に立った、大変に意義のある内容を示していると認識しております。これからの都市計画におきましては、地域がそれぞれの個性や主体性を発揮したまちづくりを推進することが重要でありまして、今後、これらの勧告や答申の内容を踏まえながら、国や区市町村との役割分担を適切に調整し、よりよいまちづくりに努力を重ねていきたいと考えております。 ◯大西委員 そこで、都市計画では、国から都への分権にとどまらず、さらに都から市区町村への分権が必要となるということですが、ちょっとお聞きしましたけれども、どのような考えのもとで、どのような準備を今後進めていらっしゃるのか、お聞きいたします。 ◯水庭地域計画部長 都市計画におきます都と区市町村の関係についてのお尋ねでございますけれども、地域の特性を生かしたまちづくりを一層推進する観点から、都市計画決定に当たりましては、今後、区市町村が中心的な主体となり、都道府県の都市計画決定は、区市町村の区域を超える広域的、根幹的な都市計画を担うこととなるべきであると考えております。  地方分権に向けた準備といたしましては、現在、全庁的な組織として、二月に設置しました地方分権推進本部のもとで、地方分権推進計画大綱の作成を目指して、区市町村との関係のあり方を検討しているところでございます。都市計画に関しましては、今後明らかとなります都市計画法や関連政令の改正の内容を踏まえながら、区市町村との具体的な関係を明確にしていく予定であります。 ◯大西委員 第二次勧告や都市計画中央審議会の中間報告を伺いますと、具体的事務の変化として想定される、都市計画審議会、そういうものについての業務、どのように変化するのか、お聞かせください。 ◯水庭地域計画部長 地方分権推進委員会の勧告や都市計画中央審議会の答申によりますと、具体的事務の変化といたしましては、都道府県において決定する都市計画の範囲の縮減があります。例えば、都道府県において定めるべき公園、緑地の面積を、現行の四ヘクタールから十ヘクタールに引き上げ、また、都道府県において定めるべき市街地再開発事業の規模を、一ヘクタールを超えるものから三ヘクタールを超えるものに引き上げることとなります。また、都市計画地方審議会の事務に関してでございますけれども、区市町村決定の都市計画案件は、従来、承認申請を受けた知事が都市計画地方審議会に付議することとなっております。今後は、区市町村に法定化によりまして設置されます都市計画審議会に付議されまして、知事は都市計画地方審議会に付議する必要がなくなることになります。 ◯大西委員 そうしますと、同じく第二次勧告や都市計画中央審議会の中間報告を踏まえると、都市計画案件の審査にかかわって、これまで知事決定案件、そして市決定案件はどのように変化すると考えられるのでしょうか。 ◯水庭地域計画部長 知事決定とされます都市計画につきましては、今後、国の認可を廃止し、都道府県は国と合意を必要とする事前協議を行うこととされます。その際、国は、都道府県の区域を超えた広域的視点や、国の利害に関係があるかという国家的視点から調整を行うこととされておりまして、公権的関与は排除されることになります。また、区市町村が決定する都市計画につきましても、従来の知事の承認を廃止いたしまして、区市町村は都道府県と合意を必要とする事前協議を行うこととされます。都道府県はこの事前協議に当たりまして、都道府県の定める都市計画との適合性、市町村間の広域調整の視点から調整を行うことが明確化され、公権的関与は排除されることになります。 ◯大西委員 分権勧告を受けて、国では、法案化など、制度に向けてどのようなタイムチャートが想定されるのか、そしてまた今後どのような課題が検討されるのか、その点お願いいたします。 ◯水庭地域計画部長 地方分権の推進につきましては、今後国におきまして、ことしの夏を目途に、勧告等の内容を織り込んだ地方分権推進計画を作成いたします。そして、平成十一年度の通常国会において都市計画法などの法律改正案を上程し、平成十一年度内には、政令などを含めました法律整備を完了する予定と聞いております。これらの過程の中で、国や区市町村との調整につきまして、広域的、根幹的な計画における都道府県の役割、合意を必要とする事前協議の具体的なあり方などが課題として検討されるものと考えております。 ◯大西委員 都市計画の分権の方向ということで、市区町村の事務は増大する方向であるわけですけれども、専門性にかかわる人的強化などの体制強化のための支援は必要だと考えます。しかしながら、一番ここで大切なのは、都市計画マスタープランの作成や、そしてこれに伴う市民参加のシステムづくりであると私たちは考えております。こうした点についての都の考えをお聞かせください。 ◯水庭地域計画部長 新たな都市計画制度のもとでは、区市町村の役割が増大することによりまして、まちづくりにおける住民の役割も相対的に高まり、住民の積極的なまちづくりへの参加が期待されることとなります。特に区市町村において策定済み、または策定中の都市計画マスタープランにおける住民意見の反映につきましては、これまでもいろいろと各区市町村で特色ある取り組みが行われております。今後、地方分権が進む中で、その策定過程自体が住民のまちづくりへの理解と参加を得ることや、合意の形成を進める上でも重要な意義を持っていると認識しております。 ◯大西委員 先ほど河合先生もお聞きになっておりましたけれども、時のアセスメント、都市計画決定後も長期にわたり着手されなかったり、着手しても遅々として進まない事業、その廃止を視野に入れて見直すという時のアセスメントが、私たちは今日重要だと考えておりますが、そのことについて都の見解をお伺いしたいと思います。 ◯水庭地域計画部長 時のアセスメントということではなく、一般的な認識としてお答えさせていただきます。  現在の社会経済状況の急激な変化や住民意識の多様化に伴いまして、一たん決定された事業の内容が現実の住民ニーズに適合しないようなことが生じた場合には、事業の再評価を行い、必要な見直しをするといった観点は、特に今日のような財政上の制約が大きく、行政改革の必要性が強く求められている状況におきましては、重要な視点であると認識しております。既に、全庁的な取り組みといたしましても、昨年度は財政健全化計画において見直しが行われ、また、今後の組織再編の過程でも同様の検討が行われることとなると考えられます。  まちづくりの分野におきましても、基本的に事業期間が長期にわたるという特質を前提としながらも、変化に応じた適切な処置を講じていくことは必要であるというふうに考えております。 ◯大西委員 きょうお尋ねしました、時のアセスや都市計画制度の分権化は、従来から惰性で行われている事業を、惰性で行うのではなく、生産関連から生活関連と新たなニーズに対応し、住民のニーズに対応したそういう都市計画事業が行われるきっかけになるのではないかと考えております。  それに関連しまして、東京都では、生活都市東京構想の中で、生活者にとって暮らしやすいまちづくりを進めようとしていると聞いております。この視点は都市計画事業においても重要であります。とりわけ身障者や高齢者が安心して生活できるバリアフリーのまちづくり、生活の豊かさが実感できるまちづくり、環境等の共生型都市づくりなど、そういう生活に関連するまちづくり、今後、そういう意味で、新たな課題として都市計画の事業の中で意欲的に取り組んでいただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。 ◯小竹委員 私は、平成八年の十一月二十日に、都市計画法五十九条四項に基づく特許事業として、都市計画後楽園公園の第二期特許の事業認可がおりたことに関連してお伺いしたいと思います。  これまで、特許事業という形で公園整備事業はどのようなものが行われてきたのか、まず、その年次と施行業者、事業内容についてお伺いいたします。 ◯水庭地域計画部長 東京都の都市計画公園にかかわる特許事業についてでございますけれども、まず、十三号地公園におきまして昭和四十五年九月に認可いたしました船の科学館、また、後楽園公園におきまして昭和五十九年十月に認可いたしましたドーム球場、さらに、平成八年十一月認可の宿泊施設、管理施設等、それから、同じ平成八年十一月でございますけれども、やはり後楽園公園の中の第一期事業の再整備がございまして、二つの公園において四件ございます。 ◯小竹委員 それぞれ特許事業ということですけれども、建ぺい率等についてご説明いただきたいと思います。 ◯水庭地域計画部長 それぞれの事業上の建ぺい率でございますけれども、船の科学館一三・七九%、後楽園、これは第一期事業でドーム球場ですけれども、五三・一%、それから第二期の宿泊施設、周辺施設、これは一九・八%、第一期事業再整備区域、これが建ぺい率ゼロ%でございます。 ◯小竹委員 一九八七年、昭和六十二年の九月三十日に、建設省の九二号、九三号通達が出されているわけですが、その通達に基づく認可は、これでいくとたった一つというか、後楽園にかかわる二つの特許、基本的には第二期特許が中心だというふうに、これのみというふうにもいえるのじゃないかと思うのですが、この第二期特許の建築物についての概要についてご説明ください。 ◯水庭地域計画部長 後楽園公園の第二期の事業の宿泊施設、管理施設等の概要でございますけれども、第二期事業区域は、面積一万七千九百平方メートルでございまして、建築物は、宿泊棟と管理施設棟の二棟でございます。宿泊棟につきましては、規模といたしまして、地上四十三階、地下三階、高さ百五十五メートル、建築面積が二千九百四十八平米。用途といたしまして、ホテルの客室のほか、レストラン、婚礼附帯施設、ホール、駐車場等が設けられております。管理棟の方は、地上十六階、地下三階、高さ七十四メートル、建築面積が六百平方メートル。用途は、管理事務室、従業員諸室、それからレストラン、売店、駐車場その他が設けられております。 ◯小竹委員 今お答えいただいたのは、人工地盤面における特許。特許の場合には人工地盤面でということでのお答えですよね。普通の建築物で見た場合には、地盤面での確認というふうになるわけですれども、この第二期特許でいえば、地盤面で見た場合には、敷地面積が一万一千七百一・七八平方メートル、建築面積は七千百九十六・三九平方メートル、延べ床面積が十万九千百平方メートル。高さとか、それについては変わらないわけですが、地下三階、地上四十三階、百五十五メートル。これはホテル計画ですね。超高層のホテルということで、営業施設として、客室が千十四室、食堂八店舗、宴会場が十六会場等、先ほどご説明いただいたわけですけれども、これで見ると、地盤面で見た場合に、建ぺい率という点でいえば六一・五%になるのですよね。敷地面積の半分以上が建物ということになって、このほかにもあるわけですけれども、こういう建築を許していいのかと私は正直思うわけですが、こういう公園内に超高層ないしは高層のホテル建設を行っている公園というのがほかにあるのかどうか。その点はいかがですか。 ◯水庭地域計画部長 公園内にホテルを建設している例といたしましては、公共事業で行われているものに、福岡県の国営海中道海浜公園、江戸川区の都立葛西臨海公園がございます。また、特許事業で行われているものに、埼玉県の秩父ミューズパーク、宮崎県の阿波岐原森林公園がございます。この宮崎県のケースでは、四十五階建ての高層ホテルが建てられております。 ◯小竹委員 いずれもかなり広大な敷地の中に建てられているものであるというふうに思います。こういうホテル建設ができるようになったのは、やはり中曽根民活路線による規制緩和が行われて、八七年の建設省の通達以降こういうものがつくられているというのは事実だと思うわけですが、当然こういう通達等について考える場合に、都市計画公園の整備については、やっぱり上位法である都市計画法や都市公園法に基づいて行うのが当然の姿だろうというふうに思うわけですが、公園整備について第一義的に行わなければいけないのは、これらの法規等でどのように明記されているか、明らかにしてください。 ◯水庭地域計画部長 都市計画事業は、都市計画法五十九条によりまして、知事の認可を受け市町村が行うものというふうにされておりまして、それに加えまして、都、国、それから民間も施行することができるようになってございます。 ◯小竹委員 都市計画法でも、それから都市公園法でも、公園整備については、国、都道府県、市町村が行うというのは基本ということでうたわれているわけですね。通達も同様に、第一義的にはそこが責任あるというふうにうたってあるわけですけれども、五十九条四項に基づいて、民間事業者に公園整備都市計画事業を特別の許可ということでやるわけですけれども、五十九条の四項には、特別な事情がある場合において知事の許可を受けてできるというふうに書かれているわけですよね。ですから、ごくまれな特別の事情があるものというふうに限られるわけですね。  そういう意味でいうと、自治体が公園整備をするという点から見れば、当然、都市公園法に基づいて整備が行われるわけですけれども、都市計画施設である都市計画公園も当然この整備の対象になるというふうに思います。そういう意味で、都市公園法の目的、それから公園施設としてどういうものが認められているのか、その点についてお示しください。 ◯水庭地域計画部長 都市公園法の目的は、都市公園の健全な発達を図り、公共の福祉の増進に資することを目的としてございます。また、都市公園に設けられる施設でございますけれども、これは、都市公園法二条並びに施行令四条に規定されてございまして、公園の効用を全うするため、園路、広場、植栽等の修景施設、休憩所等の休養施設、メリーゴーラウンド等の遊戯施設、野球場等の運動施設、陳列館等の供用施設、宿泊施設等の便益施設、管理事務所等の管理施設、その他集会所等の施設を設けられることになっております。 ◯小竹委員 今ご説明いただいたように、都市公園法第一条に目的がうたわれており、都市公園についていえば、健全な発達を図って、公共の福祉の増進ということが目的とされているわけで、そういう意味でいえば、公園内にできるものというのは、規定された限られたものになっているわけですよね。しかも、公園の効用のために、それを全うするものとして認められているわけですけれども、法では、都市公園については百分の二を上限として、施設の中身によって若干緩和されている部分もありますけれども、しかし、そういうふうに限られたものが認められているという状況ですよね。施行令第四条六項に便益施設として宿泊施設が入っているわけですけれども、これについても、一九九三年、平成五年までは、この施行令の中には、簡易宿泊施設ということで、ヒュッテだとかバンガロー、旅館等、専ら宿泊の用に供せられる建物で簡素なものという形で、それこそ二階ぐらいのものに限定されていた中身だったわけですよね。それが平成五年に、簡易という部分が取られて、宿泊施設というふうになったわけですけれども、公園施設の中でつくれるものとして限定される中身が、施行令の八条にうたわれているわけですね。この八条の四項に、宿泊施設の制限についてうたわれているというふうに思いますけれども、その点についてはどのように書かれていますか。 ◯水庭地域計画部長 ご質問の都市公園法の施行令第八条の四項では、宿泊施設については、当該都市公園の効用を全うするために特に必要があると認められる場合に設けられるということになってございます。  なお、公園の特許事業は、都市公園法の適用を直接的に受けるものではありませんで、特許事業では、通達や都の基準等に基づきまして、都市計画事業として認められる施設を整備させるものでありまして、管理に当たりましても、都の承認する管理計画に基づき管理をさせるものとなってございます。 ◯小竹委員 通達とか方針とかというのは、やはり上位法に基づいて、それを重視する形で行うのが当然のやり方ですよね。ですから、そういう意味でいえば、民間の特許事業だって、やはりその法の精神にのっとってやるというのは当たり前のことじゃないですか。施行令の四条では、認められるということではなくて、特に必要があると認められる場合のほかこれを設けてはならないというふうになっているのですよ。やっちゃいけないということなんですよね。そのほかにも、都市計画法の第五十三条や五十四条のかかわりで、都市計画施設について公園の建築制限規定がありますよね。特に五十四条でいえば、階数については、地上二階、地下を有しないなど、容易に移転、除去できる場合にのみ許可を与えるというふうになっているわけですね。こういう点でいうと、このような超高層ホテル、しかも建築基準法上でも──特許事業だからこれは該当しないというふうにいわれるかもしれないけれども、敷地面積の六割も占めるような超高層の建物が公園の中につくられるなんていうのは、やっぱりどだいおかしいし、こういうものは許される問題ではないというふうに考えます。  その上でさらに問題だというふうに思うのは、後楽園公園の場合、特許事業では、今回、二期特許と一緒に出された再整備の部分については除いて考えた場合に、一期での特許事業も、それから二期の今回の特許事業においても、すべて人工地盤ですよね。人工地盤の上で二〇%というふうな形になっているわけですけれども、その下はすべて建物になって営業もやられている、こういう状況になっているわけです。後楽園の特許事業の人工地盤の下の構造がどういうふうになっているのか、そして、そのほかに、公園等でそういう人工地盤や地下構造物をつくっている公園があるのかどうか、その点についてあわせてお答えください。 ◯水庭地域計画部長 人工地盤の上につくられている公園や、地下に大規模構造物がつくられている例としては、都立の日比谷公園、木場公園、光が丘公園、中川公園、港区立の氷川公園、渋谷区立の宮下公園ほか多数ございまして、その下には、下水処理場や給水施設、駐車場、地下鉄の車庫、線路敷などがつくられている例がございます。  後楽園の公園の人工地盤の下に設けられている施設につきましては、遊園地や展示場、ゲーム場、スポーツクラブ、プール、レストラン、売店、駐車場などがございます。今申したのは第一期事業区域でございまして、第二期の事業区域の人工地盤の下には、宿泊棟や管理棟の関連施設でありますホール、レストラン、駐車場、機械室等が設けられる計画となっております。 ◯小竹委員 その他の、先ほどご説明いただいた後楽園以外の公園の地下の構造物というのは、下水の処理場だとか、給水施設だとか、駐車、駐輪場だとか、ある意味では公共的な、都心の特に土地がない中で、やむを得ず公共的なものとしてつくられたものがほとんどだというふうに思うのですね。しかし後楽園の場合には、地下は三層にわたる駐車場で、それは最大限認めたとしても、人工地盤の下、だから普通でいう地盤面のところはすべて営業施設ですよ。先ほどいった一期の再整備部分を除いて考えたら、二割どころか、敷地のほとんどの部分が営業のために開発を行っている、こういう状況ですよね。敷地全域が開発されているというふうな状況で、こういうことになれば、何でもできるということになりかねないわけですよね。  そういう意味で、今議論をさせていただいたように、公園整備というのは、やはり五十九条四項に基づく民間事業者がやる場合でも、最低限というか、やっぱり上位法である都市計画法や都市公園法が守られる、それに基づいた計画でなければならないと私は思うのですね。ところが、九二号通達、九三号通達、建設省のこの通達は、上位法であるこれらの法律を超えた形で開発を認めて、民間活力の導入というふうな形でやられるという点では、非常に法を逸脱した中身として、重大な問題があるといわざるを得ないと思います。  そういう点で、後楽園の場合には都市計画公園であり、広域避難場所に指定されているこの当該地域でこういう建物がつくられるということは、公園という広場の性格からいえば、公園を、建物によって半永久的に回復し得ないような、こういう状況にさせられていて、公園指定そのものがなくなってしまうような状況であって、法の精神にも反するようなこういう開発計画は、私は、許されない重大な問題であるというふうに考えます。そういう点では、今後こういう特許事業というのは、やはり法にのっとってやるべき中身ということで、このような通達での開発を民間事業でやるということについては、今後の計画としては認められないということで指摘をして、質問を終わります。 ◯高野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  都市計画局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯高野委員長 異議なしと認め、都市計画局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。  以上で都市計画局関係を終わります。      ━━━━━━━━━━ ◯高野委員長 これより財務局関係に入ります。  初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員の交代がありましたので、財務局長より紹介があります。 ◯西念財務局長 去る四月一日付をもちまして異動がございました財務局の幹部をご紹介させていただきます。  吉田正明管財部長でございます。永坂達夫地域整備担当部長でございます。野田一雄庁舎管理部長でございます。  よろしくお願い申し上げます。    〔理事者あいさつ〕 ◯高野委員長 紹介は終わりました。      ───────────── ◯高野委員長 財務局関係の決算については、既に説明を聴取しております。  その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  資料について理事者の説明を求めます。 ◯木内主計部長 過日の当委員会で要求のありました資料についてご説明申し上げます。  お手元に配布しております平成八年度各会計決算特別委員会要求資料をごらんいただきたいと思います。  おめくりいただきますと、目次がございまして、ご要求がありました資料は三点でございます。私の方から、資料第1号についてご説明を申し上げます。  もう一枚開いていただきまして、資料第1号、都債会計別最高金利及び最低金利一覧表をごらんいただきたいと思います。  表側にありますように、会計別に整理し、一般会計についてごらんいただきますと、最高については八・〇%、昭和五十年五月三十日などに発行したものでございます。最低は二・四%でございまして、平成九年四月二十四日などに発行したものでございます。それぞれ会計別につきまして、最高、最低を整理したものでございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
    ◯齋藤経理部長 それでは、私からは、資料第2号及び第3号についてご説明申し上げます。  まず二ページの資料第2号でございますが、この資料は、都における昭和六十二年度から平成九年度第三・四半期までの各年度における全契約のうち、中小企業の受注実績を、工事関係、物品関係別に記載したものでございます。  表の下から二番目にございます平成八年度でご説明申し上げます。  工事関係契約のうち中小企業との契約分は、件数で三万三千六百四十六件、金額にいたしまして五千二百七十八億八千二百万円。これを全契約実績との比率で見ますと、件数で八七・一%、金額で四六・九%でございます。  次に、物品関係契約のうち中小企業との契約分は、件数で二十二万四千二百五十一件、金額にいたしまして三千三百四十四億三千七百万円。これを全契約実績との比率で見ますと、件数で八六・五%、金額で六三・九%でございます。  同様の内容につきまして、過去十年間の実績を記載してございます。  次に、三ページの資料第3号でございますが、この資料は、平成八年度における物品関係の契約のうち、中小企業の受注実績の高い契約につきまして記載したものでございます。  什器買い入れの欄をごらんいただきますと、全契約のうち中小企業との契約分は、件数で四千六十件、金額にいたしまして四十二億三千四百万円。これを全契約実績との比率で見ますと、件数で九二・九%、金額で八八・六%でございます。  同様の内容につきまして、印刷物製作、運搬請負を記載してございます。  以上、大変雑駁でございますが、2号、3号の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 ◯高野委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。  発言を願います。 ◯町田委員 それでは、財務局関係の質問に入らせていただきますが、資料要求をいたしました都債につきまして、まずお聞きしていきたいと思います。  今説明があった中で、一般会計を見ますと、最高の利率が八・〇で最低が二・四ということですから、これは最近の低金利を反映して、最近は大変低い金利のがあるなということがわかるのですが、ただ、これはあくまでも一番高いやつと低いやつですから、都債全体ベースで見たときにはまた違う流れというのがあると思うのですが、大まかに高い金利の都債というのはいつごろの時期に発行されているものが多いのか、まずお願いしたいと思います。 ◯木内主計部長 先ほどの資料をごらんいただきますと、年度が一番右に書いてございますけれども、金利の高い時期を見ますと、一つは、直近では平成二年から三年のころがございまして、いわゆるバブルの中で、景気が過熱する中で金利を高目誘導したということのあらわれの中で金利がなっているのが一点でございます。そのほか、政府資金、二十年、三十年という長いものがございますけれども、そうした長期の借り入れということから、第一次オイルショック以降の四十九年から五十年ごろのもの、あるいは第二次オイルショック以降の、これもインフレ抑制ということで高金利政策がとられた昭和五十五年から五十六年にかけてのものが、高いものが一部残っている状況にございます。 ◯町田委員 当然都債におきましても、そういった経済の中での公定歩合を中心にした金利というものが裏に反映をされて、いわゆる高いもの低いものというものがあらわれてきていると思うんですね。  それとあともう一つは、当然今度は裏を返しますと、例えば出納長室で行っている歳計現金なんかも、今ですと、非常に金利が低いため、歳計現金が生み出す利というものが少ないと思うのですが、逆に平成二年から三年ですか、この辺のバブル期においては、恐らく歳計現金の出てくるものというのは多かったと思うんですね。ですから、公会計といえども、いわゆる経済の流れの中に乗っているということの一つのあらわれなのかなということを、私自身とらえておるのですが、そういった中で、よく議会等でも話があります、要するに高い金利で借りているのなら安いのに切りかえろよ、こういった話があると思うのですけれども、じゃ実際に今、都債で高金利のやつを借りておりますが、こういったものを、いわゆる繰り上げ償還、こういったことをしていくことが簡単にできるものなのか。あるいは、場合によると借換債という手法があると思うのですが、こういったものが実際に契約上──都債というものは契約しておりますけれども、そういった流れの中で可能なのかどうなのか、教えていただきたいと思います。 ◯木内主計部長 先生ご指摘されましたように、都債も一つの社会的な意味での商品でございますので、経済の動向に支配された金利水準によって影響を受けるのはご指摘のとおりでございます。私ども、そうした意味での都債というのを、将来にわたって安定的かつ低金利で調達していくことが、まずもって大切なことだというふうに考えております。そうした中で、お話の繰り上げ償還は、それぞれ政府資金につきましても、あるいは民間資金につきましても、契約上は可能という条項になっております。しかしながら、現実に繰り上げ償還を行うことについてはさまざまな問題があるのではないかというふうに考えているところでございます。  まず民間資金について、ちょっと長くなりますけれども、お話をさせていただきたいと思います。  民間債というのは、東京都におきまして、さっきお話があった借りかえも含めて、年間約一兆円ほど、会計をすべてをトータルしますと発行しております。それらにつきまして、国債であるとか、政府保証債なんかと同じような意味において、債券の発行市場において、シンジケート団を通じて投資家に販売されているわけでございます。そして、そういうものが債券の流通市場の中で投資家相互間で売買されている、流通過程にある商品であるわけでございます。そうした意味においては、高金利であったからといって、東京都がそれを一方的に繰り上げ償還を行った場合には、都にとって目先の利益は得られるけれども、将来にわたって、投資家にとっては期待された利回りといいますか、そういう利益を奪うことになるわけですので、結果としては投資家の不信といいますか、都債に対する信頼性を失うという重大な結果をもたらすわけでございます。そうしたことを考えますと、目先の利益だけではなくて、長い目で見て、重要な財源である都債の安定的な確保ということを第一義的に考えていくことが必要なのだろう。私たちはそういう考えを堅持していきたいというふうに考えているところでございます。  また政府資金についても、政府資金の主なものは、郵便貯金を原資とする、資金運用部を通じて借りているものでございます。資金運用部の貸し付けの金利というのは、なるべく低くということで、郵便貯金から預かっている金利と同率の金利をもって地方団体に貸し付けている状況にございます。そうしたことから、そうした資金運用部の仕組みの中にあって、今、かつてのを高いからといって繰り上げ償還することは難しい、できないよというのが大蔵省としての考え方であろうかと思います。まして、それについて東京都が主張し、そうしたことになった場合には、社会的な影響もとても大きいということになろうかと思います。そのことは、ひいては国民のいわば貴重な預金先である郵貯の金利体系といいますか、そんなことにも波及をするわけでございまして、預金者全般にも影響が及ぶという意味において、政府資金についても、借りかえをすることはなかなか難しいのではないかというふうに私どもとしては考えているところでございます。  繰り返しになりますけれども、貴重な財源である都債の安定的な確保ということを、私たちとしては第一義的に考えていきたいというふうに考えているものでございます。 ◯町田委員 東京都の場合には額が一兆円を超えるということで、今の説明を聞いていますと、大きくいいますと、日本経済の流れの中での一つの動きなり、ある程度のそういった方向づけまでを示して──まあ示すまではいかないでしょうけれども、ある程度そういう中に乗ってしまっているのかなという、こういう理解を私はさせていただいたのですが、例えば一般の地方公共団体なんかですと、場合によると、繰り上げ償還ということで、いわゆる今まで借りていたものを低い金利にということですが、これは、今の説明をお聞きしておりますと、例えば銀行から証書でいわゆる借り入れをしている、そういった中での、対銀行の、俗にいう民間会社がやっているような書きかえ、借りている者の書きかえみたいな、そういったレベルなのかなということなんですけれども、ちょっとその辺をもう一度ご説明していただきたいのです。  よく地方公共団体で繰り上げ償還を行って、高いものをなるたけ安いものにしていこう、それでそういった公債費負担を減らしていこう、こういうことが行われておりますけれども、今の説明を聞いていますと、お話ししましたように、証書貸付のレベルだから、対銀行のやりとりである。ところが都債の場合には、逆にいうと、一兆円を超える資金調達であるがために、経済の原理原則、あるいは金融市場を考えた中での発行をされているために、簡単に自分の都合で繰り上げ償還をして安くしちゃったりとか、そういうレベルの問題ではないという理解でよろしいのかなということと、あともう一つは、そういったものに対して投資家というものが動いている中で、投資家に対する信頼度もつけていかなければいけないということで、ある程度じっと我慢をしてやっていかなければいけないという、こういう理解でいいのか、もう一度ちょっとご説明願いたいと思います。 ◯木内主計部長 先生ご指摘の全くそのとおりでございまして、あえてつけ加えるべきものは全くないわけでございます。証書の借り入れ、一部の地方団体、繰り上げ償還やっているのは事実ですけれども、それはおおむね地元の金融機関が指定金融機関になっているわけです。一、二の金融機関との相対、一対一の証書借り入れといいますか、その金融機関がほとんど償還まで保有している状況ですので、そうしたことも、表現は悪いですけれども、相手方の一、二の銀行を泣かせることによってそれはできるのだろうと。額的にも小さいもの、社会的な影響も小さいということなんだろうというふうに私どもは思っております。ただ私どもとしては、そうしたことであったとしても、大きく広く地方債全体を考えたときには、まあそういうこともいいのかなあ、余りよくないのじゃないか、信頼性全体を失うことにつながるおそれもあるのじゃないかという危惧感も一方では持っているところでございます。 ◯町田委員 確かに地方債全体の流れということで私も理解させていただきたいのですが、ただ、そういった中で、やはり安いにこしたことはないと思うのです。例えば国債や政府保証債、そして我が都債と、この三つを比べたときに、いわゆる利回りを含めた都債というのがどんなような位置づけにあるのか、その辺のところを教えていただきたいのです。 ◯木内主計部長 今現在売り出し中の四月債というのがございまして、その発行条件で申し上げさせていただきますと、国債は表面金利が一・八%、発行価格が九十九円九十二銭でございますので、応募者の利回りとしては一・八〇九%。それに対して政府関係機関が発行する、政府が保証しているいわゆる政府保証債といわれているものが、表面金利二・一%、発行価格九十九円七十五銭、利回りは二・一三〇%。それに対して都債を含めた公募地方債は、同日の条件決定でございましたけれども、表面利率二・一%、発行価格が、政府保証債よりも十銭下の九十九円六十五銭。したがって利回りが二・一四二%でございました。 ◯町田委員 そうしますと、今ご説明受けたのですけれども、どうしてそれぞれ差ができてしまうのですかね。その辺のところ教えていただきたいと思います。 ◯木内主計部長 ただいま申し上げましたように、国債と政府保証債と地方債の間には差があるわけでございます。四月は、条件の決定日が、国債の条件決定日と政府保証債、地方債との間で、政府保証債と地方債は同時でございましたけれども、少し日にちが違っていた、金利動向がまた変わっているという特殊な要因がございましたけれども、それを除いた場合であったとしても、三つの間にはそれぞれ信用力であるとか発行規模といったようなことの違い、商品性の違いといいますか、そんなところで残念ながら格差が生じている状況にございます。  具体的に申し上げますと、国が直接発行する国債、あるいは国が担税力をもって担保している政府保証債に対して、地方公共団体が発行するところの地方債、債券との間では、投資家の方から見ると、やっぱり信用力に違いがあるというふうに認識をされているのが事実でございます。そんなことから一つ差が生じますし、また発行規模の面で見ましても、四月債の場合は、国債がトータルでは一兆一千億の発行でございました。それに対して政府保証債が、公営企業金融公庫のみでしたけれども、三千六百億円。その同日に決まった都債は四百億円でございまして、こうした発行規模の違いといいますか、債券の流動性という観点から商品性が劣るということで、市場から判断をされているということであろうと思っています。そんなことで、結果としてはそういうふうになっているのが現状でございます。 ◯町田委員 確かに国債と比べますと、一兆円と四百億円ということで非常に規模が違うということですが、ただ逆に、高利回りということは、裏を返すと、今度は償還をしていくときに、当然その分の利率が高いということですから、高いものを返していかなきゃならない、こういったことですよね。ですから、やはりある程度人気のある商品にしていって、少しでも安く発行していくということが、逆に後年度負担を抑えていく、こういうことになりますよね。  で、お伺いしたいのですが、先ほど都債の位置づけというのはわかりましたけれども、当然今度は、投資家に対して魅力ある商品づくりというものをしていかなきゃいけないと思うのですが、実際東京都は、いわゆる投資家に対して魅力ある商品性を持たせた都債というものの改善策か何かというものをつくられているのですか。また取り組んだりしているんですか。 ◯木内主計部長 都債についても、先生ご指摘のように、魅力ある商品づくりというのは大切なことだというふうに認識をしているところでございます。そうしたことから、都債のみならず、地方債全体としても、この間さまざまな工夫をしてまいったわけでございますけれども、その一つの例として、縁故債について平成三年の三月から、公募地方債については翌年の四年の四月から、償還方法の変更というのを行いました。償還方法というのは、従前は定時償還方式、期間が十年の中で、三年据え置き、四年目以降七年間かけて毎年六%ずつ、抽せんによって償還するという償還方式でございました。そうした方式の場合は、投資家にとって期待の利回りが得られなくて、当せんするというのはいいように思われますけれども、当せんすることによって利回りが得られなくなってしまうといいますか、買い取られちゃうといいますか、そういう状況が生じていたわけです。そのことが地方債の特有な仕組みでございまして、国債なり政府保証債は従前よりいわゆる満期一括償還方式をとっていましたので、都債につきましても、全国に先駆けて、先ほど申した平成三年三月から、縁故債について満期一括償還方式を導入したわけでございます。そうしたことから、商品性の改善に取り組んだ一例として申し上げさせていただきました。 ◯町田委員 確かに都債の場合には国債と違った、投資家に対して、三年据え置いた後六%ずつ返していってしまうという、そういったものがあったので魅力性がなかったのですが、満期一括方式という、要するに投資家にとっては安定した形のものがつくられたということなのですが、ただこれも一つには、大体現在十年という形が基本で行われているものですから、年限が限られていると思うんですよね。民間債なんかの場合には、十五年、二十年という長期物もやっていると思うんですね。例えば電力債なんかは二十年物を扱っていると思うんです。確かに平成三年には、いわゆる満期一括ということで大変安定した、投資家にとっては──投資家は当然、利率がいいということで、地方債なり国債に投資をしてくれるわけですから、満期一括になって安定したわけですけれども、ただ十年という限られた年数ですから、もう少し、例えば逆に短い七年物とか、逆に長い電力債のように二十年物とか、そういったものにもある程度また工夫をしていく必要があると思うのですが、実際にはそういうものが可能なのか、また、そういう取り組みも考えておられるのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。 ◯木内主計部長 先生お話しのように、償還期間についてもさまざまな工夫をしていかなければいけないということもご指摘のとおりでございます。そんなことの一つとして、東京都においては十五年債というのを、この平成七年から三回ほど発行した実績がございます。長いということで、従来の銀行なり証券会社を通してではなくて、長期の資金の運用を行っている生命保険会社を中心としたシンジケート団を構成して──そんなことも一つ、償還期限の多様化の一環として行ったわけでございますけれども、お話のような、さらに七年とか二十年と申されましたけれども、そんなことも含めてこれからも検討し、実現に向けて努力ができればというふうに考えているところでございます。 ◯町田委員 今回こういったことを取り上げさせていただいた中には、一つには、もう既にご案内のように、ビッグバンという形の中で金融が自由競争に入っていくよという、やはりそういったものに都債あたりも合わせていく必要もあるのではないかということなんですね。  それとあともう一つは、確かに十五年物とかというのが出ていますけれども、それはあくまでも、私が思うには、やはり裏にある事業との兼ね合いがあると思うんですね。投資家が求めるから何でも長いものを出せばいいというのではなくて、やはり事業に合った形での年月というものがあると思うんですね。これはあくまでも東京都という公共団体がやることですから、年月も、投資家には魅力あるものを出さなきゃいけませんけれども、片やもう一つには、事業との合わせというものも必要かと思います。  それと、先ほどの説明の中で、この四月に出たのは、国債は一兆円、政府債の方が三千六百億円、都債が四百億円ということで、非常に規模が小さいわけですよね。大体、都債の毎月の発行を見ますと、四百億から五百億ということですが、もう少し規模を、例えば一千億単位にしていくということで考えていく。隔月に発行していくような、そういう手法もまた必要かとも思いますし、また、いわゆる外債というものもやられていると思いますけれども、これらも当然、今のように金融の自由化に向けては、また取り組んでいくような題材かと私は思います。地方公共団体だからといって、やはり今目の前にある経済というものの大きな流れをとらえながら、こういった都債の発行もしていく必要があると思います。目先の利益の、いわゆる繰り上げ償還というものにとらわれず、都債の発行を改善して、中長期的な観点で取り組んでいただきたいと思いますが、その辺の総論的なお考えをお聞きして、この件については終わりたいと思います。 ◯木内主計部長 お話しいただきましたように、都債、その経済の流れの中で生きているということになるのだろうと思います。ただ経済の波間に漂っているのではなくて、先生ご指摘のように、波を乗り切り、力強く進めるような方途をこれからも検討し、実現に向けて努力をしていきたいと考えております。 ◯町田委員 それでは次に移らせていただきたいと思います。  一つは事故繰越についてなんです。これは実は他の、建設局ですか、そのときにもちょっと触れさせていただいたんですが、最終的には財政運営上のことにもなるのかなと思うのですけれども、今回、私も初めて東京都の決算審査の委員会に携わらせていただきまして、確かに決算の審査の中で、いろいろやりとりを聞いておりまして、それぞれ予算執行していく中で、いわゆる法令に基づいての適法性や公平性というものがきちっとなされているなということは改めて確認とれましたし、資料に目を通させていただいても、そういった形が出ておりますけれども、ただ実際に予算執行していく中で、事業や、いろいろ執行されたものの効果性とか効率性というものが、果たして都民にどういう形で反映されたのかなという、このレベルまで入ってくると、どうもわかりづらい、こんなことがわかるのですけれども、例えば予算編成をしていくときに、担当者、今回も財務局におきましても担当者が新しい方になりまして、恐らく今度は十一年度の予算編成に携わっていくと思うんですね。そういったときに、通常の方法ですと、十一年度の予算を組むときには、前年度の予算、前々年度の予算をある程度比較しながら組まれていく、こういう手法をとっていくと思うんですね。それが果たしてどうなんだろう。前例を見ながら、それを踏襲していくことによって、安易な予算編成になってしまうのではないか。その辺は、決算のこういった審議なり、また決算で出てきたものを踏まえてやっていく必要があるのではないかなということなんですね。  それと、確かに財政運営については財務局の方できちっと指導されておりますが、例えば各局におきましては、港湾局であれば港湾事業、住宅局であれば住宅事業、建設局であれば建設に携わる事業ということで、事業を進めることについては大変熱心に進めておりますけれども、局内における財政運営がどこまできちっとされているのかとなると、その辺は、私はまだ十二分に理解をしていないところなんですね。  今回たまたま事故繰越ということで扱わさせていただいたんですが、例えば八年度決算を見ますと、住宅局と港湾局と建設局の三局で事故繰りがあるのですね。ただ、その中で、住宅局や港湾局は、万やむを得ない事情があっての事故繰りという形で繰り越されたんですが、建設局の場合には、どうもお聞きしますと、かなり長い間、扱い方としては、その年度に終わらなかったことを繰越明許をかけまして、それで終わらなかったものを事故繰越という形で、こういう形で三年間続けてその事業を引きずっているというようなことで、事故繰越を行っているんですよね。  改めてお聞きしたいのですが、まず、当然公会計というのは単年度主義をとっていると思うんですね。ですから、まず公会計における会計年度独立の原則、こういったものをどう考えているのか。また各局に対して、会計年度独立の原則──公会計はそういう形で、いわゆる民間会社の会計とは違うわけですから、その辺のところを財務局の方ではどうご指導されているのか、その辺もお聞きしたいと思います。 ◯木内主計部長 会計年度独立の原則は、自治法の二百八条に規定しているものでございまして、それぞれの会計年度において支出すべき経費についてはその年度の収入をもって充てるべきという、基本的な予算原則の一つでございます。お話がありました事故繰越などについては、この会計年度独立の原則の例外ということで自治法上定められているものでございまして、既に契約などが済まされているにもかかわらず、避けがたい事故のため、例えばお話があったような場合、用地買収なんかの場合については、用地の買収の契約は既に済んでいるけれども、相手方がまだ移転しないというような避けがたい事故、相手方の住宅が移転先でまだ建たない等々のそんな理由があった、避けがたい事故のために、年度内に経費、金の支払いが完結しない場合に認められるようなものでございます。したがいまして、こうした制度の適用に当たっては慎重に取り扱うことが、会計年度独立の原則に照らして正しいのだろうというふうに私どもは考えているところでございます。  そんなことから、その決算に当たりまして、そうした事故繰越等の適用に当たりましては、慎重な対応、本制度の趣旨を逸脱しないように慎重な取り扱いをするということで、適切な審査、調整を行った上で、繰り越しの是非、可否等について判断をいたしているところでございまして、財務局としては、そうした立場で所管局と十分調整を図りながら、これからもその慎重な運用を行っていきたい、かように考えている次第でございます。 ◯町田委員 例えば地方自治法二百二十条の事故繰越ですけれども、毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年において使用することができないという、やっぱり単年度主義ですよということを明確にうたって、ただし、避けがたい事故のために年度内に支出が終わらなかったもの、こういう扱いなんですよね。確かに、法的に見ればできますよ、繰越明許もできますよという、できるのと原則論とは僕は違うと思うんですね。ですから、それはある意味では公会計の逆の宿命だと思うんですね。  ですから、決算を見ましても、民間の会計でしたら、きょうは触れませんけれども、資産の部と負債の部という形で──いわゆる公会計の決算には減価償却もないですし、東京都がこれだけの土地は持っていますけれども、建物がありますけれども、それに対する資産評価というものは載せないですよね。ですから、仮に県の財政で考えたときに、借金が仮に五千億ある県と一千億ある県とでどちらが優良かといったら、一般的にいえば一千の方がいいのじゃないか、こういった単純な表現が出ますけれども、ただ、でき上がっている施設とか都市基盤とかいろいろなものを見たときに、片方はほとんど新しい建物ができている、それがために五千億の借金、片方はもう老朽化したものがある、それがために一千億の借金、こういうことになりましたら、どちらが優良な経営かとなったら、これは難しいと思うのですね。ところが、公会計の場合には、そういった資産関係の評価というのは全くされていないのが現実の姿ですよね。ですから、その裏腹に単年度主義というのを厳密にとられていると思うのですけれども、もう少し財務局として、統括をして財政運営をされている局でありますから、ぜひそういった面で、もう一度、財政運営について各局にきちっと考え方を示していくということが必要かと思うのですが、その辺の──事故繰越につきましては、建設局の用地買収に多少絡めたご答弁をいただいたのですけれども、確かにそれは理屈としてはあると思いますけれども、その辺の財務局としての各局に対する指導というものも必要と思いますが、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。 ◯木内主計部長 事故繰越、いわば会計年度独立の原則の例外の適用でございますから、当然のことながら、例外の適用に当たっては公会計としての慎重な配慮といいますか、そういうことが必要であろうということはご指摘のとおりでございます。そうしたことから、私どもとしては、これからも、所管局に対しましてそうした慎重な取り扱いをするようにさらに指導をといいますか、調整といいいますか、そうしたことを行っていきたいというふうに考えております。 ◯町田委員 最終的には、一度年度で締めていただいて再計上という手法もあるわけですから、その辺のところもまたよろしくお願いしたいと思います。  次に、不用額についてお聞きしたいと思いますけれども、平成四年度から八年度までの歳出決算、一般会計における不用額の推移がどういう流れになっているか、お聞きしたいと思います。 ◯木内主計部長 その間の歳出の不用額、執行率を数字で申し上げますと、平成四年度が不用額三千五百七十億円、執行率九四・二%、五年度が三千六百二十億円、九四・二%、六年度が三千八百三十億円、九三・六%、七年度が三千二百五十億円、九四・四%、そして平成八年度の不用額が三千四百億円、執行率は九四・三%でございます。 ◯町田委員 大体三千五百億前後で九四%台という流れで、不用額が出ているのですけれども、ただこれはあくまでも数字上のことだけであって、やはり中身であるとか、どうしてそういった不用額が出たのかという、こういった発生原因というのはおわかりなんですか。 ◯木内主計部長 不用額の発生原因さまざまございますけれども、例えば、工事等についての補助金を区市町村、民間に出しますけれども、その補助金の相手方の事業が執行がおくれた場合、あるいは建物の工事、あるいは土木工事などにおきまして、地元の事情などによって着工時期がおくれた、そんなことによって、予算編成時に想定していたことよりも、あるいは数字よりも事業が進捗しない場合、そういう場合に不用額が生ずる場合がございます。  また一方で、事業の進捗は予定どおりいったわけでございますけれども、先ほどのような、工事の場合の入札の際の契約金額と予算金額の差、契約差金と申しますけれども、そういう契約差金が生じている場合であるとか、経費の節減といいますか、節減の努力をしたことによって予算が残額が生じた、あるいは事業の実施方法を改善する事業改善、事務改善といいますか、そんなことを行うことによって、予算の計上額よりも少ない経費で十分な事業が行えたというようなケースも一方ではございます。 ◯町田委員 なぜ私がこの不用額についてお聞きしたかといいますと、実際にこの分厚い決算書を見ますと、ずっとこう、不用額、不用額と羅列されているんですね。これはどういった中身なんだろうということで、こちらに決算の参考書というのがあるんですね。これは出納長室で出しているんですが、この中身を、じゃあどうだろうというので見ていきますと、例えば福祉費のところを見ますと、実績による残、これが一番大きいんですね。それとあと、管理事務費等の実績による残という、こういう不用額の説明なんですね。また次を見ていきますと、これは衛生費ですが、やはりその他実績による残、あるいはまた職員費の実績による残、こういうことなんですね。じゃあほかはどうだろうといいますと、清掃事業で見ますと、職員費の実績による残、その他実績による残という、こういう扱いなんですね。ほかの局を見ましても、その他実績による残。中には、土木費なんかですと落札差金、こういった例もありますけれども、こういう取り扱いで、その他実績による残というのが一番大きな額になっているんですよね。じゃあ実際にこの不用額の中身が何なのかというのは全くわからないんですね。じゃあ決算審査は何ぞやということになりますと、組まれた予算がいかに効果的に都民のために執行されたかを審査するわけですよね。ところが、これを見ていた限りでは全くどうなっているんだろうということで、わからないのが正直いって現状なんですね。ですから、やはりこの辺の参考書あたりも、もう少し具体的に、例えば今いったように、落札差金といえば、あ、なるほど契約の中での差金だなということがわかるのですが、どうもわかりづらい。この辺も、もう少し今後の課題として考えていただきたい面があるんですね。  逆に今度、財務局が十一年度なら十一年度の予算編成に入っていく、このときに、こういった決算のこれを受けて、実際に不用額の内容を把握していないと、各局との対応をしていって予算を詰めていく段階で、不用額が出たんだから、来年度は不用額出た分だけ削っちゃえという、こういう単純なやり方ではできないと思うんですね。内容がわかってこそ初めて、優良な不用額なのか、本当に怠慢による不用額なのかというのがあると思うんですが、財務局としては、その辺の不用額の中身というものをきちっと把握されているのかどうなのか。 ◯木内主計部長 決算におきまして、不用額の多い少ないということではなくて、事業の目的が達成されたのか、あるいはどの程度達成されたということが重要だ、いわば中身の問題だというのは、ご指摘のとおりだというふうに私どもも考えているところでございます。  そうしたことから、私ども、予算編成に当たりましては、決算における実績といいますか、事業の実績、効果等についても、予算要求の添付資料といいますか、求めているところでございまして、そうした不用額の中身の吟味、あるいは事業の実績等を踏まえた形でもって、最大の効果が得られるように、予算編成にも当たっているところでございます。今後も、そうした予算編成時における決算の中身の吟味というものについても、さらに厳しい目を光らせていかなければいけないというふうに考えているところでございます。 ◯町田委員 そういった形がとられてないと、結局、決算というのはただ単に数字の羅列で終わってしまうのですね。  ここにもう一つ、「主要施策の成果」というのが、これは財務局の方でつくられた資料なんですけれども、非常にコンパクトで、正直いって中身がよくできているなという気はするんですね。実は東京都の場合には、今回、新規事業については、いわゆる五年のサンセット方式が導入された中で、かなり精査をしながらやっていきますが、じゃあ既存の事業の検証が十分なのかな、そういう気もするんですね。  例えば、今回、施策総点検を行ったということなんですが、実際にその効果というのがどのくらいのものが出たかということと、あと、こちらのいわゆる「主要施策の成果」というものなんですが、この中を追っていきますと、確かに決算上、局ではこういうことを行いましたよ、で、実際にそれを年度を追った形の中である程度数字で追いかけていますから、事業というものが進んでいっているものがかなり数字でわかるんですね。ここまでは確かにわかりやすいんですけれども、ただ、実際に効果として、数字が上がればそれがよかったというだけではないんですね。やっぱり中身の問題ももう少し突っ込んでいかなきゃいけないと思うのですが、それはともかくとしまして、施策の総点検を行われたということですから、これについての効果がどういった形であらわれたのか、その辺を教えていただきたいと思います。 ◯木内主計部長 十年度の予算編成に当たりまして、先生からお話がありました施策の総点検というのを行ったわけでございます。その際には、時代変化への対応、役割分担の明確化、公平性の確保、効率化の徹底という四つの視点を置きまして、すべての事業をまないたにのせて施策の総点検を行い、見直しを行ったわけでございます。その結果、二百八十一の事業を廃止し、百三十九億円を削減することなどを行ったわけでございまして、そうした事業の廃止などを含めまして、全体では、経常経費では約千六百億円、投資的経費では約千二百億円の削減をいたしたところでございます。  この行いました施策総点検は、施策のあり方を、時代状況の変化といいますか、そんなことの変化を踏まえまして、都民に役立つように再構築していくという基本的な視点を置いて行ったわけでございまして、経費の削減のみならず、いわば施策の再構築、そういう面でも、私どもとしては大きな取り組みであり、かつ一定の成果が得られ、また今後に向けての蓄積も得られたのではないか、かように考えているところでございます。 ◯町田委員 いわゆる総点検をやったことによって、経常経費で千六百億、投資的経費で千二百億円、また、事業そのものでは二百八十一事業ですか、そういったものを廃止していったということですから、かなり大きくふるいにかけて整理をされてきたということがわかるわけですけれども、ただ、これからはそんな生易しい時代ではなくなると思うんですね。一つには都債の償還が待っていますし、それが制度が変わって、今までは少しずつ返していたのが、三年据え置き、十年たって一括ですよと、どかんどかんと返していかなきゃならないということですから、それがまず待ち受けているということが一つですね。それとあともう一つは、当然高齢化社会に対する歳出の増加、これは、いわゆる民生費というものが黙っていても毎年毎年膨らんでいっているという、これが実情ですから、その償還が控えている。毎年毎年上がっていく民生費。こういう二重のものをしょいながら、まだまだ多摩地域なんかは基盤整備が不十分ですから、そういったものもやっていかなければいけないということで、三重苦をしょっているような、これがまさにこれからの財政運営なんですね。  ですから、そういった面では、もっともっとシビアに決算というものを見ていく必要があると思うんですね。ですから、それぞれの事業のコストや、あるいは成果がどうであったのかというものを、もっともっと客観的にとらえていくようなものが私は必要かと思うんですね。それは、東京都の財政のかじ取りをしている財務局が、もう少し各局の中に突っ込んでいって、行った事業に対してもっと詰めていくというんですか、そういったことがこれから必要だと思うんですね。そういったものの反映を受けて予算編成に臨んでいく。先ほど質問の中で触れさせていただいたように、前年度、前々年度の予算を参考にしながら局で組まれた予算なんていうのは、これからはもう通用しないと思うんですね。やはり決算を踏まえた中で、実際に効果がないものだったら減らしていこう、ある程度都民に対する効果が出たものなら、むしろ伸ばしていこう、こういうことも必要だと思うんですが、こういった今の予算制度を見た中で、財務当局としては、この決算を踏まえた中で、これからの予算の取り組みについてどういった所見をお持ちなのかお伺いして、質問を終わりたいと思います。 ◯木内主計部長 今日の財政状況、先生のお話をいただければ、三重苦という言葉がございましたけれども、そういう状況のもとにあって、都民の現在の、そして将来にわたってのニーズにこたえていくためには、当然のことながら、私どもに与えられた財源を、重点的に、かつまた効率的に配分していくということがより強く求められているというふうに考えております。そうしたことを行うためには、事業の必要性、効果、そういったものをより厳しい目で検証し、かつまたそれを継続的に行っていくというようなことが必要なのだろうというふうに考えております。  私ども、この間、予算編成手法の改善であるとか、施策の総点検というものを実施してきたわけですけれども、今後、この間の成果といいますか、取り組みの実績を踏まえまして、事業の効果をさらに検証し、見直しに結びつけるような仕組みづくり、そうした事業評価制度について、予算編成手法の改善と関連づけながら検討していくことが必要だろうというふうに考えております。そしてその際には、ご議論いただき、ご指摘いただきましたような、決算などに示された事業実績というものについてもきちっと分析をし、評価をしていくことも必要なんだろうというふうに考えているところでございます。今後とも、そうした立場で的確な予算編成に当たることができればというふうに考えているところでございます。 ◯丸茂委員 私は、都財政のあり方について、青少年センター移転問題を具体例に伺いたいと思います。  この決算年度である平成八年九月議会に、都の青少年センターを飯田橋庁舎から臨海部のテレコムセンタービルに移転する議案が出されました。当時我が党は、臨海副都心のがらあきの第三セクタービルに、年一億六千万円の新たな家賃負担を行って移転をさせ、かつ無料であったものを有料化する、臨海副都心開発の破綻を都民の税金でしりぬぐいするものとして反対しました。我が党以外の会派が議案に賛成し、平成九年一月には移転した経過から、都民サービスと都財政のあり方について何点か伺います。  そもそも青少年センターの移転は、どのような経過から移転に至ったのか、簡潔に説明を願いたいと思います。 ◯吉田管財部長 財産管理上の経緯ということでお答えいたしますが、従前より都の財政支出監理団体、いわゆる三セク保有のビルなど東京都と関係のあるビルにつきましては、これも広い意味での都有財産であるということで、その有効活用の見地から、入居希望の局に空きフロアの紹介を行ってきたところでございます。その一環としまして、臨海部のビルの空きフロアに関しまして、平成七年十月、各局の事業所や施設につきまして、今後の行政対象の変化とか、建物の老朽化あるいは狭隘化等に伴い、移転あるいは建てかえの必要が生じているもの、また、新規事業の展開によりまして新たに建物が必要となっているもの等の利用規模を調査いたしたところでございます。その結果、生活文化局から青少年センターの移転の希望がございまして、その希望に沿って移転がなされたものでございます。 ◯丸茂委員 私も調べましたら、平成七年十月二日に、東京都及び財政支出監理団体等が所有する事務所ビル床の有効活用について、東京都と、まあ財政支出監理団体に限ってはいなかったのですが、今の答弁で、臨海部のビルの空き床に関して希望をとったということなのですけれども、この有効活用の中には、都民サービスについても当然のこととして考えられるべきだと思うのですが、その点についてはいかがなのでしょうか。 ◯吉田管財部長 生活文化局が移転を希望した理由そのものが、従前の施設では、都内青少年のニーズにこたえていくためには不十分であって、利用者でございます都民へのサービス向上を図るために移転したいということであったと理解してございます。したがいまして、そのような都民サービスの向上といった要望をできる限り実現するものとして、移転の調整が行われたものでございます。 ◯丸茂委員 そういう経過はあったにしても、この都の青少年センターを移転させることを最終決定したのはどこなのか、その点いかがですか。 ◯吉田管財部長 生活文化局から移転の希望がございまして、また予算部門での財源措置がなされるなど、関係局間の一連の調整の結果決まったものでございますが、基本は、所管局である生活文化局の決断によると考えております。 ◯丸茂委員 私は違うと思うのですね。都有事務所ビル等の有効活用に関するヒアリングの結果ということで、平成八年一月二十二日に、各局の財産管理担当課長あてに、昨年十月下旬から十一月初めにかけて行いました貴局とのヒアリングを受けて、財務局内において、財産の有効活用を図る視点から種々検討を行った結果、移転先テレコムセンター、予定床面積千九百九十平方メートル、予算措置は平成八年度に計上すると。こういう点で、結論的には、いろいろヒアリングをやって、決断をしたのは財務局だと、そういう政策判断も含めて決められた例だというふうに思うのです。  そういうことを踏まえて、やはり少なくとも青少年センターの利用実態というのですか、本当に有効性があるのかどうか、それから都民ニーズにこたえているのかという点で、貸出施設の利用実態、これについても、移転前と移転後ではどうだったのか、稼働率でどうなのか、把握している範囲で結構なのですが、お答えいただきたいのです。 ◯吉田管財部長 生活文化局の所管施設の事業運営に関するデータでございますので、大変申しわけございませんが、私の立場ではちょっとお答えいたしかねますので、ご容赦願いたいと存じます。 ◯丸茂委員 これから経費の問題は聞いていきますけれども、やはりこれだけ重要な問題を、ましてや財務局の財産管理の効率的な運用ということで決断を下したという点では、わからないというのは、私は問題だと思うのですよ。  それで、私自身も、生文の方にもお願いして、ちょっと調べたんですけれども、平成八年四月、これは移転前ですけれども、貸出施設の利用数なんですが、百六十三件、最高は八月で百九十八件。本来、新しい施設ができますと、このテレコムセンター、三倍に広がったわけですから、希望が殺到していいはずなんですが、一月に移転したときは確かに七十七件、その後三十四件に下がりまして、平成九年四月は三十四件。移転前の四月が百六十三件ですから、約五分の一ですね。直近まで調べていただいたら、九年九月、これは百五件。最高百九十八件ですから、これでも、比較しても二分の一しか利用していないという実態が明らかなんですけれども、稼働率でどのくらい利用すると予測していた、その予測についても全く承知していないのですか。 ◯吉田管財部長 具体的な稼働率とか、そういう計数は聞いてございませんが、ただ、施設的には三倍以上の規模となり、またいろいろと新しい使い方のできる施設ということが売り込みでございまして、当然ながら、長期的には従来よりも稼働率を上げていくというふうに、都生活文化局は考えていたものと考えております。 ◯丸茂委員 稼働率でいいますと、移転前は、音楽室が約八割、ホールと集会室約六割の利用をしている状況で、平成八年九月十三日の文教委員会で、利用率についての我が党委員の質問に対して、答弁では、「現在の青少年センターの稼働率から推測いたしまして、おおむね三分の二程度ということで予測してございます」ということで、三分の二程度は利用されるだろうということなのですけれども、実際に施設の貸出実績を見ますと、低いところで五分の一、高くても二分の一という点では、稼働率でいえば三割前後、あるいは三割切るような、そういう状況にあるのではないか。効率性という点では非常に悪い実態だというのが、ここでいえるのだというふうに思います。そういう点でも、施設の効率的な活用、なおかつ都民サービスという点では非常に問題のある中身であるということを指摘しておきたいと思います。  次に、経費の面でどうだったのかという点で伺っておきたいと思うのですけれども、移転経費は決算上、この年度ですから、幾らかかったのか、この点お答えいただきたいと思います。 ◯吉田管財部長 移転に係る経費でございます工事費とか、あるいはまた備品購入費等の合計額は約三億七千五百万円と承知しております。 ◯丸茂委員 それから、移転前は、都の自前の施設ということで、賃借料がなくて維持管理費だけの負担で、当時年間千百五万円余という維持管理費だけだったのですけれども、移転後の賃借料、あるいは共益費、維持管理費、これは、ちょうど平成九年四月からは消費税も五%に上がったということで、当初私ども聞いていた額よりもさらに賃借料等は上がっているかと思うのですが、実際に賃借料、共益費、維持管理費は幾らになっているのか、その点お伺いいたします。 ◯吉田管財部長 平成九年度、消費税五%込みの賃借料でございますが、年間で約一億六千六百万円、共益費が約五千万円でございまして、合わせて年額約二億一千六百万円でございます。また維持管理費は、平成九年四月から平成十年二月までの実績額が約三千六百万円であると聞いております。 ◯丸茂委員 維持管理費が三千六百万。これは、施設が三倍になったのですから、一千百万の約三倍程度で、数字的には理解できるところなのですけれども、実際に賃借料、共益費、そして維持管理費を含めますと二億五千二百万ですか、そういう数字になりますよね。そうしますと、維持管理費一千百万程度ですから、約二十三倍近くの経費負担になっているというのが実態だと思うのですね。そういう点で、この建物の賃貸借の契約は、ことしの三月三十一日までだったというふうに思うのですね。したがって、都民の税金が本当に都民のために使われているのかという点で見直すならば、ちょうど検討すべき時期にあったのじゃないか。そういう点で、都民サービスと財産の効率的運用という点で、財務局の考えをお尋ねしておきたいと思うのです。 ◯吉田管財部長 財産の有効活用ということは、特にこのような都民利用施設の場合、利用者でございます都民に適切なサービスが供給され、有効に利用していただくことが、お話のように重要であるとは認識しております。ただし、そのことは第一に所管局の取り組みに係るものと考えておりますし、また一般的に、この青少年センターのように、移設とか新設間もないものにつきましては、その本来のねらいとか効率が十分に発揮されるまでには一定の時間を要するものと考えますので、今後の状況を見守るとともに、所管局から要請等がございますれば、また一層の有効活用のための調整を行ってまいりたいと考えております。 ◯丸茂委員 財務局は、さっきも議論ありましたけれども、所管局から上がってきたら何でも認めるというのじゃなくて、都民の貴重な税金が、本当に都民のために、最少の経費で最大の効果が上がるように本当に使われているのかという点で、大元締めだというふうに思うのですよね。そういう点で、所管局の問題でもあるんですけれども、例えば都民サービスという点では、平成三年の十一月に決定した青少年健全育成のための新東京都行動計画、これが一番新しいと思うのですが、そこでは青少年関係施設の充実が挙げられておりまして、施設機能の充実というところでは、青少年の地域活動の拠点である施設の機能が生かされ、十分かつ効果的に利用されるよう各施設を充実するとともに、各施設のネットワーク化を図ることにより機能の相互補完を進めるとして、青少年センターについては、平成六年から八年、九年から十二年にかけて機能の充実を進めていくということになっていたわけですよね。そういう点で、既存の施設が足りなければ、ほかの施設等も連携して機能を充実させるというのが、いきなり交通至便のところから臨海部に移転する。実際にあそこまでの交通費、それから施設の有料化、なおかつ距離的にも、近くなった方もいらっしゃるかもしれませんけれども、交通の便からいけば、はるかに遠くなっている方が圧倒的だという点では、その点がやっぱり利用実態にもあらわれているという点で、青少年の健全育成という点でも非常に問題がある。  さらに、財産の効率的運用という点では、テレコムセンターそのものが、世界に開かれた情報通信の拠点として中核的な施設なわけですよね。そこがそう穴があくということ自体が、計画そのものがやっぱり問題があったし、破綻をしている。そういうところに、なぜ都がここまでしなければならないのか。あのテレコムセンターには、情報産業の大手企業も入る予定。そういうものも十分入らない。そういう企業の責任はどうなのか。それから、第三セクターに出資した金融機関についても、ビル建設費などで利子等を考えますと、平成九年度までに五百二十億円も受け取っているという点で、第三セクタービルの運営そのものに対する金融機関の責任という問題でも、不問にしている。そのほか、現在財務局が進める財政健全化計画では、都民の本当に切実な福祉まで削ろうという一方で、臨海関連第三セクターに二百七十億円の財政支援を行う。さらに、今回のような青少年センターなどによる都施設の空きビルの穴埋めに、都民の税金で費用負担を肩がわりするということは、まさに財政の逆立ちした使い方だという点で、私ども、青少年の利用拡大、あるいは充実の観点からも基本的な見直し、それから、都財政のむだ遣いという点でも根本から見直すよう求めて、質問を終わります。 ◯原委員 私、簡潔に何点かお伺いしたいと思います。  まず、財務局所管の未利用地の有効活用、これについてお伺いしたいと思います。  平成八年度末、財務局が所管している未利用地の財産はどれぐらいあるのか、八年、九年度でお示しいただきたいと思います。 ◯吉田管財部長 平成八年度末の未利用財産は、都として今後の利用計画を検討するものと、計画の見込みがなく売り払いを予定するものと両方ございまして、合わせて、八年度五百十四件、面積では約五百三十四ヘクタールでございます。また九年度でございますが、年度末での数字はちょっと確定しておりませんので、十年の一月末現在で申し上げますと、五百五十一件、面積で約五百六ヘクタールでございます。  なお、これらの未利用財産は、各局の事務事業の終了等に伴い財務局に引き継がれたものでございますが、具体的計画が定まるまでの間も、できる限り区市等へ遊び場や公共駐車場として貸し付けるなど、暫定利用を図っているところでございます。 ◯原委員 それでは、各局から引き継いだ件数、そして処理件数についてお伺いしたいと思います。 ◯吉田管財部長 まず平成八年度について申し上げますと、新たに各局から引き継いだ未利用財産は百七十四件、面積で約二十三ヘクタールでございます。一方、八年度中に具体的な利用計画が定まり、各局へ事業用地として所管がえしたものが二十一件、約十三ヘクタール、区市や民間へ売却したものが百四十四件、約六ヘクタール、道路敷などとして区市へ譲与したものが九十件、約十四ヘクタールでございます。また、九年度について申し上げますと、同じように各局から引き継いだ未利用財産は、一月末現在でございますが、百十二件、約十七ヘクタール。一方、九年度において具体的な利用計画が定まり、各局へ所管がえしたものが、同じく一月末現在で十六件、約四十六ヘクタール、売却が百八十五件、十七ヘクタール、区市への譲与が四十二件、約六ヘクタールとなってございます。 ◯原委員 今お聞きいたしましても、各年度で百五十前後の所管がえまたは売却等が行われている。これを見ますと、まだまだ各局で利用されていない財産というのは多くあるのではないかというふうに考えられますけれども、各局との連携というものをどのように図っておるのか、お伺いしたいと思います。
    ◯吉田管財部長 お話のように、各局が所管する行政財産の利用状況につきましては、従来、各局からの文書報告による把握がございましたが、それにとどまらず、平成七年度からは実地調査をも実施いたしまして、より一層の有効活用を促すとともに、未利用財産につきましては、財務局への引き継ぎの促進を図り、また、管理の不適切なものについては早急に是正するよう指導しているところでございます。  また、特に本年度は、私ども管財部の組織を再編いたしまして、この実地調査を専門的に行う部門を設置したところでございまして、この行政財産調査のより一層の充実を図っていくこととしてございます。  このほか、平成七年度に、主要局の財産管理担当課長を構成員とする都有地管理適正化推進連絡協議会を設置いたしまして、管理の適正化を図っているところでございます。 ◯原委員 都有地の管理適正化推進連絡協議会を設置して、さらに財産管理における連携を図っていくということでございますけれども、この中で特に問題として指摘されている部分、これはどんなところがあるか、お伺いしたいと思います。 ◯吉田管財部長 管理面の問題としては、隣接地との境界が不明確なものが見受けられることや、財産台帳等の不備も指摘できるところでございます。また有効活用の面から申し上げますと、事業規模の変化などによって敷地が過大となっており、ほかの施設との合築や、敷地の分割を考慮すべきものも見受けられるところでございます。こうした問題につきましては、先ほどの協議会等の場を十分に活用し、各局に対し指摘するとともに、境界石設置など、財産管理の適正化を指導しているところでございます。 ◯原委員 財産管理上の事務的な問題だけではなくて、より有効活用ができるような形、これもぜひ協議会の中で検討すべきではないかと思います。特に有効活用の見地からこういう部分を考えますと、ただ単に局からの報告だけではなくて、売却等も考えた上で、厳しい財政の中でより有効に活用することが大切ではないかと思います。そういう点も含めて、今後どのように未利用地に対して取り組みをしていくのか、最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。 ◯吉田管財部長 お話の第一点、より有効活用の指導をすべきではないかということでございますが、先ほど申し上げました行政財産調査の内容をより多面的にするとともに、協議会の機能を充実、拡大するなど、ご提案を踏まえまして、財産の有効活用に関する各局との連絡調整機能の強化に努めてまいりたいと考えております。  また、売り払いのことでございますが、都におきまして利用計画の見込めない未利用地については、国、区市町等への売却のほか、平成五年度から、公募による方法での売却を行ってきたところでございますが、昨年九年度には、新たに一定規模以上の土地につきまして一般競争入札による売却を実施するなど、促進に努めてきたところでございます。しかしながら、九年度の売却は、公募方式につきましては予定の半数以上の成約が見込まれましたものの、一般競争入札につきましては九件中一件の落札にとどまってございます。これは、景気の停滞とか地価の下落傾向など、土地の売却にとって非常に厳しい状況が続いているからと考えられますが、今回の結果を十分分析いたしまして、時期とかPRなど、売却の促進につながる工夫を凝らしてまいりたいと考えております。  今後とも、お話のように、各局からの財産の引き継ぎの促進とあわせまして、売却、貸し付けなどにより、未利用都有地のより一層の有効活用に努めてまいりたいと考えております。 ◯高野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  財務局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯高野委員長 異議なしと認め、財務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。  以上で財務局関係を終わります。  以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後六時五分散会...